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雪宿り

昨日、散歩に行くと家を出て、古本屋に寄った。

買いたかったのは「ブルーピリオド」というコミック。youtubeでアッちゃんと山田五郎さんのコラボで話されていたもの。おふたりのファンなので、それは捨て置けない。

とりあえず一巻を購入して読んだ。

何事もそつなくこなせる高校生の主人公が絵を描くことと出会う。そこから旅路がはじまる。絵を描くということの出発点。

自分はなにがしたいのか、若さのなかで手探りして、否定と肯定の間を行き来して、それでもなお、こころをひっぱっていくもの。それが絵を描くこと。

しかし、出会った喜びと出会ってしまったしんどさは編み上げ模様のようにくりかえしやってるく。

こちらは好きなものが手の中にある幸せを思い、すすめ!すすめ!と応援する。そんな1巻を読み終えて、その続きが読みたくなった。

で、古本屋の棚で探すも、2巻がない。3.4.5.6巻はあるのに、2巻だけが抜けている。残念。まったくいつもこんなだ。

とりあえず、6巻までの4冊を購入。ずしりとした重みを感じながら外に出ると、小雪が舞い始めた。

おお、寒い。小雪は小雪ながら、風に踊らされ、こちらをからかうかのように、あるいは挑発するかのように、ところ構わずぶつかってくる。こいつらこわいものしらずだな、なんて思ったりする。これはたまらんな、と雨宿りならぬ、雪宿りをしようとのばら珈琲さんへむかった。

三回目ののばら珈琲さん。素敵な空間。



いらっしゃいませ。あら、こんにちは。

そんな言葉をかけられる。覚えてもらってる感、なんだかうれしい。

時を経た調度に見惚れながら窓辺の席に座ると、カーテンが目に入る。それが、ウールの生成色の太目の毛糸を棒針編みされたものだった。途中透かしのようなら模様編みがはいっている。

そんなカーテン、初めて見た。すごいなと感心する。

これ、お編みになったんですか?とたずねると、お友達がね、と言って、にやりとされた。お友達、すごい。

雪宿りにはココアがお似合いのような気がして、頼んだ。たっぷりしたカップになみなみと。湯気がうれしい。

これまでは店内にはお客さんがいない時に来てたが、今回は2組おられた。

ここにはひとりかふたりかでしか入れない。そして、歓談は控え目に、とお願いされている。お隣の席のカップルは読書されていた。静かな関係。

歓談はなく、レコードが回る。ジャジイなバラードに耳を傾ける。

ムーンリバーだったかな。オードリーヘップバーンの映画だったな。窓辺でギター弾いて歌ってた。ほかはよくおぼえてないな。

のばら珈琲さんにいると、その雰囲気や調度、品物に囲まれて、時々、過ぎ去った時間から問題を出されているような気がすることがある。

おぼえているかい?知ってたかい?って。

覚えてたり忘れてしまったりするのがひとですよ、なんてうそぶいてみたり。

いろんなのことを忘れてしまっても、初めて出会ったような感激がまた味わえると思えば、それはそれでいいんじゃないか?なんて負け惜しみ。

ココアを飲み干して窓の外を見ると、雪はやんでいた。ひとときのトリップ、終了。今がはじまる。





読んでくださってありがとうございます😊 また読んでいただければ、幸いです❣️