漫才 「うちの両親は鶏」

「大切なご報告が」

「あら、サムネの実写版?」

「驚かないでね?うちの両親、鶏なのよ」

「…。絶句、絶句よ。」

「ね。もうショックで」

「お、感情で韻踏んでる。粋だねー。でもさなんで分かったの?あなたは人間でしょ

「それもまだ分からない」

「じゃあ今哺乳類と鳥類が漫才してる事実は否めないってわけね」

「そう。で、違和感に気付いたのが30分前だったんだけど」

「行動力がまるでコナンくんですねえ」

「あの青いセットアップしか着ない児童ね」

「コナンのそこあんまフィーチャーしないし、児童って呼ぶのなんか怖いのよ。で、30分前何があったの?」

「そうそう友達からカカオトークでへその緒の写真送られてきてさ」

「チャットアプリで抽象的な写真送ってくる奴は友達じゃないよ」

「私は自分のへその緒って見たことなかったからマンムに見せてもらおうと思って」

「米国在住トム5歳の呼び方してるじゃん」

「まあ最近はね」

「最近なの?」

「で、そしたらマンムが失くしたって言うんだよ。嘘に決まってるよ。だって目泳いでたし。鳥のくせにさ!」

「最後の一文絶対いらなかったでしょ。でも本当に失くした可能性だってあるじゃない」

「つむじのあたり、ふぁふぁふぁってなってたもん」

「とさかアンテナ、ってこと?気のせいでしょ」

「でも他にも気付いたところはあって。私の名前がモモでしょ。犬がヒナ、ハムスターがぼんじり」

「ぼんじり?」

「妹の名前が皮」

「か、皮⁈軒並み焼き鳥の名前じゃん」

「そう、因みにお兄ちゃんは膝まわりの肉ね」

「それは何?」

「もう両親が鶏である事実が生きがいだわ」

「そんなところにアイデンティティ感じてくれるなよ」

「でもまだポイントはあって。うちのマンム、出身名古屋、親社長」

「お母さんが、名古屋コーチンの血を引いてるってこと?」

「で、うちのパッパ方のおじいちゃん」

「森鴎外がお父さんだった頃の呼び方⁈」

「ブラジル出身ね」

「鶏肉の生産量並びに輸出量がめちゃくちゃ多い、あの?」

「そう。これは両家が品種改良の目的で両親を引き合わせたとしか考えられないよね」

「急に関暁夫みたいになんなよ。怖いって」

「でも一理あるでしょ?もうこれは認めざるを得ないよね」

「まぁ、確かに」

「でしょ?それに家の食卓に唐揚げが出たことはないし、卵かけご飯は原形を留めないくらいかき混ぜるし、うちの家族は全員空を飛べないし、ゴリラはカルピスを飲まないし、18歳になったら投票に行くべきなんだよ!」

「…」

「うちの両親は鶏って信じてもらえた?」

「いやカルピス飲むゴリラもいるだろ!!てことで一旦やめさせていただきます」

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