漫才 「人探し」

「今全身全霊で好きな人を探しているんですよ」

「好きな人ってあんま探すもんじゃないよ。それも本気で」

「いやもう私の先祖が常に唆してくるのよ」

「全身全霊の霊って別にお化けとかじゃないんですよ」

「斜め後ろ頭ら辺から」

「あら、ここでキスしてfeatあなた2021verじゃないですか」

「そうなんです。てなわけで今からこんな人探しているんだよというのを言っていきますからね」

「なるほど、バイトの求人みたいな感じで事務的に探していくのね」

「うん、人生って効率だから」

「もう行き過ぎた高嶋ちさ子なのよ」

「では私の座右の銘が出たところで早速言っていきたいと思うんですけど」

「自己啓発系MCかよ」

「まず、天気予報をちゃんと見てて雨の日にはビニール傘じゃなくてしっかりした造りの傘を持ってる人ね」

「一つ目に出てくるものではないよね。でも、ガサツな感じはしないし、いいかもね」

「でしょ。でも理由はそうじゃないのよ。私透明なものが怖くて」

「空気、とか無理なんだ」

「そうね。だから家では加湿器から出る水蒸気を舞台用のスモークにしてる」

「なるほど在宅氷川きよしってことね。いいじゃん。ズンズン行こう」

「じゃあ、2つ目。◎△$♪を綺麗にできる人。」

「ん?魚の食べ方が綺麗とかって言った?」

「違うよ、コマネチを綺麗にできる人」

「あーコマネチね。それはもう魚だ。」

「え?コマネチって体操選手の名前から来たギャグだよね?」

「いやコマネチは米エチケット、略してこめえちが訛ってコマネチになってるのよ」

「なんかこの無理矢理具合、既視感あるな」

「世界史の教科書で、ヨーロッパの言葉がアラビア世界に行った途端無茶苦茶な訛りエフェクトかけられてるやつだね」

「それだわ。そもそも米エチケットって何?」

「米に対する礼儀作法のことでしょ。和には和を合わせなきゃいけないという料理家の発案のもと生み出されたスペシャルマッチ、「米のおかずは魚で決まり」キャンペーンの標語だよ?」

「なるほどね。米とベーコンを一緒に食べたりしちゃいけないってやつか」

「そうだよ。じゃあ2つ目はコマネチが綺麗な人ってことで次行こう」

「3つ目は新しい消毒液の出方を何通りでも考えられる人。」

「今ならではだね。」

「ペダルを踏んで出すとか手をかざすと出てくるとかはもうスベってるじゃない。そうじゃなくて例えばおっきい声だしたらそのデシベルに合わせた量の消毒液が出るとか」

「ピタゴラスイッチ?」

「あと、小籠包が熱過ぎて食べられないとき皮の部分かじってレンゲに全部スープ出す時と同じ仕組みで消毒液が出るとか」

「やっぱり中国のピタゴラスイッチじゃん。でもいいね。毎日が楽しくなりそう」

「でしょ?こういう人がこぎみゅん作ったんだろうなって思う」

「確かに。サンリオの企業理念知ってる?」

「ピタゴラスイッチ?」

「当たり前だけど違うよね。みんななかよし、なんだよ」

「みんななかよし。ピタゴラスイッチ。奇しくも誤答と模範解答で韻踏めてるね」

「フリースタイルの教科書ガイドみたいな解説してくるなよ」

「じゃあ新発見したところで4つ目行かせてもらいますね」

「コロンブスもびっくり下手MCだよさっきから。4つ目は何なの?」

「4つ目はエンタメと嘘に強い人」

「全く全貌が掴めないんだけどその心は?」

「よく刃牙とかHUNTER×HUNTERとか世代の人がみんな知ってる漫画で喩えてくるやつあるでしょ?私それめんごなのよ」

「お、令和どころか実は平成にもついて行けてなかった中山秀征?」

「そうそう、そんな感じでエンタメで喩えてもらえるとめっちゃわかりやすいのよ。それに嘘をついてもつかれても動じない人ね」

「あー嘘はその人のステータスにもなり得るものだからね。じゃなきゃビックバードが嘘発見器装着されて喋るだけのYouTubeなんて成立しないんだから」

「そうよ。突然だけどあなた、黄色って言われて最初に思いつくもの何?」

「Wi-Fiに決まってんじゃん」

「だよね。で、今までのやり取りでわかってもらえたと思うんだけど、私が探してる相手ってのはあなただったのよ」

「脈も伏線もめっちゃあったもんね」

「お洒落な傘持ってるし、ノーモーションで嘘をつけるし、エンタメ強いし。もうあなたしか見てないのよ」

「ここでキスしてfeatあなた2021remember.verじゃないですか」

「だから私の好きな人になってほしい」

「いやここでキスしてって言われると思って今朝のめざましテレビを走馬灯のように振り返って身構えてたらお笑いじゃないガチなやつが来て本当にびびっているので一旦やめさせていただきます」

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