漫才 「自己紹介とあだ名」
「桜の季節嫌だから三季にならないかな」
「まあそうなった暁には劇団四季も改名の危機ですよね。でも春が嫌って人あんまりいないと思うんですけど、どうしてなんです?」
「毎回ね、新学期早々新しいクラスでかましてやろうと思ってるんです」
「そういう奴が後で痛い目見るんですけどね」
「で、自己紹介でミスっちゃって影で変なあだ名つけられるみたいな。それって桜の季節が元凶なわけですから」
「聞く限りだと春よりはあなたに原因ありそうでしたよ?」
「ねえ、さっきから春って言ってるけど桜の季節だから。」
「いや夏を海の季節とか冬を雪の季節とか言わないでしょ」
「言うよ?」
「言うんかい。清少納言みたいな感性だな」
「ZAZEN BOYSの向井秀徳でしょうが!」
「多分違うし、どっちかと言うとナンバーガールのときの向井秀徳だから。で、今までどんなあだ名つけられたんですか?」
「うん、簡単なので言うとカラースパッツね。これは中一のとき」
「変なの。中学の初めての自己紹介で何言ったんだろ」
「まあまあ。まあまあ、ね?」
「すごい濁してくるじゃん。よっぽどトラウマなんだろうな」
「で、中3。これが一番難しいんだけど」
「あだ名の難易度ってピンとこないのよ。カラースパッツもむずいしね」
「アモーンラッタナコーシン・ラーチャタニーブリーロム・ウドムラーチャニウェートマハーサターン・サッカタッティヤウィサヌカムプラシット」
「あー確かに難易度高いわ。長文の中身が一つもわからないんだもの。初めて漢文読んだ時みたいだったわ」
「そうなんだよ、これはバンコクの正式名称においてコンマで区切られてる文字数長いランキング上位4個の言葉を並べて作られたあだ名なんだけど」
「普通短い方からピックアップするけどね。わざわざ茨の道選ばないから」
「自己紹介のときに私が寿限無暗唱したらね」
「どういう流れ?きもすぎるでしょ」
「それに感化された二枚目気取りの秀才が知識ひけかしてきて」
「学園天国でも思ってたけど、あの子だいぶくだらないんだよな」
「そうなんだよ。で、一年間結局私としかつるんでなかったんだよね」
「変な奴同士超仲良くなってんじゃん」
「サラブレッドが合うとか言うてますけども」
「それを言うなら馬が合うだよ。勝手に足速くしちゃだめだよ」
「馬好きだからさ」
「変な言い訳。でも今年は是非とも自己紹介成功していただきたいから。ここで一回練習してから帰っていただきましょうか」
「あなたはその間タクシー呼んでいただいて」
「それはちょっと難しいんだけどね。はい、じゃあちゃんとした自己紹介お願いします」
「初めまして。週末はカメラ片手にお父さんと赤羽を散歩するのが趣味です。好きな色はピンクで好きな落語の流派は林家、好きな演目は寿限無で今から暗唱したいと」
「ちょっと待ってよ、それまた変なあだ名ついちゃうって!ほとんど寿限無好きの林家パーさんなんだからさ」
「え?どんなあだ名つく?」
「カラースパッツ・アモーンラッタナコーシン・ラーチャタニーブリーロム・ウドムラーチャニウェートマハーサターン・サッカタッティヤウィサヌカムプラシット一択よ」
「いや一択ではないでしょ。てことで一旦やめさせていただきます」
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