漫才 「ポッキーゲーム」
「挨拶によくポッキーゲームするじゃないですか」
「どの国の作法?普通はトッポゲームでしょ」
「その方が変だって。で、この前も初めましての人とポッキーを交わしてきたんですけど」
「口づけみたいに言わないでよ。自分で言ってて嫌じゃないの?」
「これはポッキーゲームの専門用語だから嫌とかじゃ計れないのよ。それでその人はポッキーの柄の方を私に勧めてきて」
「チョコかかってないところ柄って呼ぶんだ」
「うん。しかもその人がチョコの部分全部食べちゃったんですよ」
「算数の問題だったら後から自転車で追い上げてくる太郎くんのお姉さんタイプじゃん。相手プロなんじゃない?」
「いやプロはそんな無作法ことしないのよ。だって袋から取り出すとき柄の方持つでしょ?触ったところを初対面の人に食べさせるなんてほぼセクハラだからね」
「いやポッキーゲーム自体がセクハラなのよ」
「トッポゲームを日常的にやってる人に言われたくないけどね」
「全然格が違うから。それにトッポゲームだったらあなたのチョコ全部食べられ問題も解決するでしょ」
「そりゃトッポは最後までチョコたっぷりを売りにしてるかもしれないけど、ポッキーでチョコを全部食べちゃう人はトッポでも同じことするからね」
「トッポって細い筒の中にチョコが入ってるの知ってる?構造的に中のチョコだけって食べられないのよ」
「でもそういう人はストローみたいにしてでもチョコを吸い尽くすってWHOが言ってた」
「世界保健機関は今忙しいんだからそんなことで会見しないけどな。あとWHOのことフーって読まない方がいいよ」
「ごめん。ポッキーみたいに言ってたわ」
「それもよくわからないけど。結局、チョコ全部食べられ問題解決するにはポッキーとトッポを一本ずつ口にいれてゲームするしかないんじゃない?」
「ポッキー並びにトッポゲームね。まあ一理あるけど、それだったら各々普通に挨拶した後にポッキーかトッポ食べた方が効率的だよ」
「効率で考えてたんだ。私は風習も大事にすべきだと思うよ」
「あー、文化擁護派ね。でも一旦考えて。日本社会の発展のためにポッキー並びにトッポゲームが必要なのかな。少子高齢化とともにIT化が進んで今まで以上に効率が重視され…」
「ちょっと待って。日本の未来の話してた?」
「私モー娘。じゃないよ」
「変なはぐらかし方してるわ。日本の未来とポッキーゲームを並列で考えてるんだとしたら多分違うよ」
「え?」
「ポッキーゲームもトッポゲームもローカル挨拶だから。お客さん見てよ。誰も共感してる雰囲気ないじゃん」
「うわ、気付かなかった」
「ね、恥ずかしいよほんとに。てことでこの話し合いの続きは二人でさせていただきます」
「どうもお疲れ様でした」
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