漫才 「くるぶしの本質」

「身体で一番いらない部位見つけちゃって」

「そんなんないでしょ」

「くるぶし」

「うわいらないかもしれない」

「別名、くろぶし、つぶぶし、つぶなぎ」

「物理的なくるぶしはともかく名前そんなに沢山いらないかもなあ。耳とか鼻とか主要メンバーが悲しむって」

「でしょ?それに何に使うか分からないわけ」

「平衡感覚とかじゃないの?」

「え、くるぶしを取ったら真っ直ぐ歩けないってこと?そんな馬鹿な」

「くるぶしを取ること自体馬鹿な話だからね」

「でもくるぶしって多分なくなってもそんなに落ち込まないと思うんだよね。考えてみて?朝起きてくるぶしが落ちてます、どう思う?」

「くるぶしって髪みたいに抜けるんだ」

「どう思う?」

「くるぶしのなくなり方大喜利持ちかけてきてるんだとしたら30分走ってきた方がましなんだけどどう?」

「じゃあ31分うさぎとびしてきてもらった上でなんだけど」

「急に昭和の間違えた教育を強要!」

「くるぶしがなくなって困ることって何かな。できればシェイクスピアとかの引用があるといいんだけど」

「シェイクスピア舐めんなよ?あの人の得意分野、人間観察に基づいた心理描写だから」

「くるぶし観察は専門外か」

「みんなそうだよ」

「でも今のでわかったと思うんだけど、くるぶしがなくなって困ることなんてくるぶし丈という概念がなくなることくらいなのよ」

「確かにその概念は余程のファッショニスタ以外使わなくても生きていけるもんね」

「もう私なんてくるぶしを身体の一部じゃなくてアートとして見てるから」

「それはよくわからないけど」

「無駄を身につけてこうやって会話のタネにしてるんだよ?ほぼミサンガじゃん」

「ミサンガの捉え方は一緒だったわ」

「だからくるぶしは娯楽なのよ結局」

「え?」

「ということで手始めに手首のでっぱってるところにくろぶしのタトゥー入れて、つぶぶし型の牌作って、犬につぶなぎって名前つけるわ」

「あー相棒が知らない間にくるぶしの色んな呼称で豪遊しようとしているので一旦やめさせていただきます」

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