漫才 「好きなものTシャツ」

「Googleのロゴと雪見だいふくのロゴとNIKEの企業理念、どれが好き?」

「質問も選択肢も全部間違ってるけど大丈夫?」

「うん、これは心理テストみたいなものだからね」

「なるほどね。じゃあ雪見だいふくで。あんまりインターネット詳しくないし体育会系でもないからね」

「ほんとに?雪見だいふくのロゴってこの世から全ての角という概念を消去したくらい丸文字だけどいい?」

「確かにギャル文字の成れの果てくらい丸いけど。でも可愛いしいいよ」

「じゃあ、来月のあなたの誕生日プレゼントは雪見だいふくのロゴが入ったTシャツにします。」

「え?え!?」

「因みに前面プリントとバックプリントの2パターンがあるんだけどどっちがいい?」

「いやいやいや」

「あ、これはサプライズの方がいいか。失敬」

「それはどうでもいいのよ。私が近々訪れる不幸を前に動揺を隠せてないの分からない?」


「誕生日を不幸と呼んでるの?誕生日を嫌がるって全生きとし生けるものへの反抗期じゃん」

「いや別に私チャンピオン尾崎じゃないから盗んだ曼荼羅で解脱とかしないのよ」

「そっか。じゃあ何が問題なわけ?」

「私は変な3択出されたから雪見だいふくのロゴを選んだだけで雪見だいふくのTシャツを欲しいかと訊かれると、どっちかと言えばジェラートピケの方が嬉しいのね。どうせ寝間着にするから」

「あートピケね」

「関西の略し方しなくていいのよ。とにかく私は雪見だいふくのロゴTはいらないですから」

「ほら、そういう感じになってしまうよねやっぱり。あなたは好きなものを訊かれただけって思ったかもしれないけど、プレゼント探しにその質問が使われることもあるってわけよ。で、そういう質問をする人の大部分はTシャツをあげようとしてくるから」

「まあ確かにどんなに好きなものでもそのTシャツ欲しいとは限らないもんね」

「そう、私も黒い冷蔵庫のバックプリントTシャツとか欲しくないからね」

「黒い冷蔵庫めっちゃかっこいいけど確かにTシャツはいらないね」

「でしょ?だから好きなものを質問された時は深く考えてから答えた方がいいのよ」

「じゃああなたの出してきた選択肢、もう一回言ってもらっていい?」

「Googleのロゴ、雪見だいふくのロゴ、NIKEの企業理念ね」

「なるほど。まずGAFAは背負いにくいかも。そんなの着てる人はすっごい天才かビル素手で降りれるくらいアホな人だもん。人間力のハードル上がっちゃう」

「うんうん。それくらい考えた方がいいよ」

「で、雪見だいふくはもうパスだからNIKEの企業理念ね。これは英語?」

「全ヶ国語。線文字Aとかも含むし」

「未解読文字まで使うんだ。でも字細かくなるから逆にいいかもしれないよね」

「いや、字は普通の大きさでビックシルエットTシャツみたいになる」

「意識高い耳なし芳一みたいになるってこと?ちょっと嫌かも」

「じゃあ、今年の誕生日プレゼントは私からは無しということになるけどいい?」

「いや3つのうちどれかのTシャツ渡す選択肢しかないってどんな家庭で育ってきたのよ」

「あ、相方に親の教育方針に口出されたので一旦辞めさせていただきます。」

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