漫才 「黒歴史」

「ちょっと黒歴史の方、発表させていただきますけども」

「自ら発表できるのであれば白歴史じゃないですか?」

「え、パンダの話してる?」

「何?」

「あ、シマウマ?違うか草間彌生か」

「いやいや序盤から下手な畳み掛けされましても困ります。兎も角黒歴史言ってもらえるんですね?」

「うん、まず昨日なんですけど」

「黒歴史、というより黒日常じゃん」

「長らく手入れを怠っていた私有の森林に久しぶりに分け入ったんですよ」

「いきなり初耳ばかりです」

「そしたらね知らない間に象さん、きりん畜生、ミニチュアダックスフンド畜生が同じ檻に共生してまして」

「象だけえらく大切に名前呼んでるのね」

「象でっけくて怖えーから」

「そういう理由ならきりん怖くないあんたすごいよ」

「きりん畜生は大丈夫ですよ。で、計5頭と19匹それはもう仲良くしていたんですけども」

「え?」

「もしかして素数気になった?」

「いや予想以上にダックスフンドが快適そうだったからびっくりしちゃって」

「ああ、でもさこれってもしや法律に引っかかるのかなと思って心配になったのでね、念のためTinderで調べたの」

「え、出会い系アプリで?」

「うん、最初の方はやっぱりペット愛好家の方ばかりとマッチングしちゃって」

「でしょうね」

「で、途中でこれはまずいなと思ってpairsに切り替えまして。何でだと思う?」

「ちょっと問題の前提が分からなかったわ」

「ビクトリ~!!」

「答えてもないのに高校生クイズ正解したときのリアクションされちゃったよ。気まずいな」

「正解はね、pairsは男性のみ登録が有料なわけ。だからTinderより皆さん覚悟もってマッチしに来てるかなって思ってね」

「あ、絶対わからなかった。というかさ、あなた、法的に大丈夫か知りたかったんでしょ?普通は法律事務所とか公共機関に聞くんじゃないんですか?」

「そう、そこがね黒歴史の肝なんです。今まで言ってなかったんだけど実は私、スマホにマッチングアプリしかインストールしてないのね」

「え、SNSとかもやってないの?」

「うん、それどころか電話もGmailもなんか体育祭の勢いで消しちゃってた」

「酔った勢いみたいに言ってるけどさー!」

「設定がバグってるのかわからないけどSafariもしばらく使えてなくて」

「それ聞いたら冒頭、草間彌生の作風を白黒と勘違いしてたのも許せる気がしてきたわ!」

「そういうわけで、結局法律のことは全く解決できなかったんだけど、動物園長2、3人とはマッチングに成功しました」

「いやマッチング謳歌してる!もう今すぐ裏行って4人目の園長と出会いな!」

「じゃあお席外させていただきます」

「では此方も一旦辞めさせていただきます」

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