BUMP OF CHICKEN『Smile』

私は、西日本に住んでおり、東日本大震災の被害を直接的には受けていません。

それでも、忘れる事などあり得ない日。
考えられない勢いで、全てを飲み込んだ津波。続く余震。
雑然とした避難所の、様々な人を画面越しに見つめながら、
「好きな人を亡くした人や、安否がわからない人もいるんだろうな」
「亡くなった人にも、生き残った人にも、(私と同じ)BUMP OF CHICKENのリスナーもいるんだろうな」
などと想像しては、吐きそうに苦しかった。

でも、直接被災していない私に、解るはずもない。想像さえ、おこがましい。
何を口にしても、誰かを傷つけそう。とにかく黙っておこうか。
気持ちには雲がかかった状態。
いやでも、私達は見捨てない。できる事があるならば、したい。どうすれば?

TVからも、一般企業のCMは、一時期消えた。公共広告機構の、「ぽぽぽぽぽぽーん」ばかりが流れた。
様々なアーティストが、追悼メッセージのようなものを出した。

BUMP OF CHICKENは、暫く沈黙していた。
曲でしか表現できない。曲を聴いてほしい。ずっとそう言ってきた彼等だったから、その在り方には納得していた。

そして沈黙は、やはり曲で破られた。
『Smile』。
Vo.&G 藤原基央氏の弾き語りで、しかしバンド名義で、リリースされた。
それは、レクイエムというよりは、生き残ってしまった者達へのメッセージだった。
どうしても、罪悪感を感じざるをえない、一生払拭されないであろう傷を抱えてしまった人の中には、
この曲によって、生き残ってしまい、これからも生きていこうとする自分を、赦せた人がいると思う。

直接の被災者ではないからと、気を張っていた私も、
鏡に映った自分を見て、この曲を聴いて、嗚咽して泣いた。
生きていこう、と、思えた。

まだ見える事 まだ聞こえる事 涙が出る事 お腹が減る事
ああ ああ
映った人が守ったよ


あなたにどれだけ憎まれようと 遠ざけられようと
ああ ああ
映った人は味方だよ

私は、距離の問題もあり、いつかいつかと思いながら、まだ被災地を訪れていません。
でも、行って、自分の肌で感じてきたいと思っています。何を、とは言えないけれど。行かないとわからないものがあると思います。広島の平和記念公園もそうだったから。

公式のCMを張り付けたかったけれど、見つからないので、当時の記事のリンク↓

https://rockinon.com/news/detail/49919