映画『ラストレター』

私は、好きになったら長いです。20年、それ以上、そばにおいて、共に歩んできたものがある。

映画では、岩井俊二監督。
出逢いから語ると、とても今日だけでは収まらないので、また別の機会にしますが、
監督の作品の切なさ、光、ユーモアとペーソスは、いつも私のバイブル的存在です。

監督の最新作『ラストレター』を、今日、映画館で観てきました。

原作本は、1年以上前に発売されていて、岩井フリークの私は、初版をすぐに入手しましたが、
すでに、映画化がアナウンスされていて。
やっぱり、“映像作家”岩井俊二監督の作品を、私は、まず映画で観たい。
というわけで、じっくりと、寝かせており、ネタバレ遮断にも見事成功し、今日を迎えたのでした。

「私は今日、岩井俊二監督の新作を、またスクリーンで観る」。
そう思っただけで、朝から何度も、こみ上げるものがあった。
監督の作品には、よく、学生、制服が出てくる。そのイメージで、チェックのマフラーに、リュックを背負い。
ハンカチも忘れずに。BUMP OF CHICKENのグッズの、ニコルという猫のハンカチを選び。

映画館では、私はかなり前方の座席を選びます。何者にも視界を遮られたくないので。
今日も、誰よりも前に座り、作品に入り込む準備完了。

▲以下、少しだけネタバレあり(ストーリーには触れてませんが)

暗転し、上映が始まった。
25年前の、同じく「手紙」がモチーフとなっている作品『Love Letter』と、おそらく同じフォントで、タイトル『Last Letter』が画面に映し出されると、もう視界が滲み、ダメ(笑) 早くもハンカチ。
説明は少なくて、人物の仕草、言葉で、だんだんと、見えてくる。
クロスする現在と過去。
痛みも笑いも混在していて、非現実的なようだけれど、人間って一つじゃないものね。どんな場面でも、相反する感情を抱くことがある。
その切なさこそ、私はリアルなものだと感じる。

様々な繋がりが浮き彫りになっていく展開に、私は自分を重ねる。
長く生きていると、もう、公も私も切り離せない、「私の人生」になってきていて。不遇な生い立ちが、今の仕事に繋がっていたり。あんなに不真面目だったし、辛い出来事もあった学生時代だったのに、今私は、その母校で働いている。そのために生きてきたとも感じるし、それしか出来なかったとも感じる。

ラストレターの内容は、そんな今の私に、とてもとても刺さったのでした。嗚咽でした。

Blu-ray出たら買うのは目に見えているけれど、できればまた、スクリーンで観たいです。
全編を。「監督 岩井俊二」の文字を。

中山美穂さんと、豊川悦司さんが登場した時は、フリークとしてはニンマリでした!