箸休め編 ゴンちゃん
高校に入学する時、同じ中学からゴンちゃんと言う男が一緒の高校に入学した。
軽くどんな奴か説明をすると 心優しきフランケン が、しっくりくる。
高校はあまり質のいい高校ではなかった為に靴箱は鍵付きの靴箱だった。
そんな時に鍵を無くしてしまった俺は靴箱辺りに鍵が落ちていないか探していた。
するとゴンちゃんがやって来て理由を話すと、拳を一振り バキョッ 靴箱を壊して中身の靴を出してくれた。
ありがとうの前に明日の心配しかない。
そんなゴンちゃんと一緒の高校になって家の方向も一緒だった為に、入学当初はよく一緒に帰ったりしていた。
しかし、こんな事を言ってはいけないが恥ずかしかった。
何故なら、当時185センチ程ある体のデカいゴンちゃんの自転車は2サイズ小さいマウンテンバイクを乗っていてしかも6段ギアのマウンテンバイクは1段ギア意外壊れていたのだ。
隣を同じスピードで走っていても、ゴンちゃんの足の回るスピードが半端なくてとても気持ち悪かった。
本当に失礼なのだが、当時は友達と思われたくなかった。
そんなこんなで学校にも慣れてきて友達もかなり増えた。
ゴンちゃんと帰る事も無くなり、ママチャリで友達を後ろに乗せて校門近くを走っているとゴンちゃんが自転車をひいて歩いていた。
ん?ゴンちゃんどした??
パンクでもした??
自転車を見る限りパンクなどしていないし、異常は見られない。
忘れたー。
え?忘れた??
乗り方忘れた。
ビックリしてブレーキをかけてしまった。
正直友達と笑ってしまった。
自転車の乗り方を忘れた 二度と聞かないであろうワードに戸惑いながらも少し話を聞いてみた。
話を聞けば、幼稚園の頃に自転車を覚えてほぼ毎日乗っているらしい。
少し乗って見せて?と、お願いをして乗っている姿を見せてもらった。
あの軽快に1段ギアでフル回転していたゴンちゃんはいなかった。
ッガッガっと回らないうちに体勢を崩してしまう。
申し訳ないが約束があった為に 頑張って! と、声をかけて先に目的の場所に行ってしまった。
学校の近くに駄菓子屋があり、そこのおばあちゃんが生徒によくしてくれていて時効だから話すが裏でタバコを吸わしてくれていた。
その日もそこでタバコを吸って先輩を待っていた。
車を持っている先輩が迎えに来てくれると言うので自転車を駄菓子屋に置かせてもらって先輩を待っていたのだ。
30分程すると先輩が迎えに来てくれた。
後部座席に友達と乗り、田舎道で車を走らせていると先輩が 何だアイツ と、言った。
友達と後部座席の窓に目をやると一瞬だけ忘れられない光景がうつってきた。
ゴンちゃんが自転車を担いで田舎道を歩いていたのだ。
ここからは完全に憶測なのだが、友達と ゴンちゃん自転車のひき方も忘れたのかな。。。 と、心配したのを覚えている。
次の日にはゴンちゃんは普通に自転車で学校に登場した。
あの日のゴンちゃんは何だったのか、未だに未解決事件である。