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チ。ー地球の運動についてー を読んだ

 

チ。ー地球の運動についてーを読みました。

今話題の漫画ですね。ビッグコミックスピリッツ連載。
魚豊先生の作品。
今月末に第3巻が発売されます。

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舞台は15世紀のヨーロッパ。C教(キリスト教)が権威を誇り、天動説が当たり前に信じられている時代。主人公の一人であるラファウは合理的に生きる人物で、生まれは貧民でもその才覚でのし上がり、将来を嘱望されている人物です。彼の養父がある異端者を引き取り、家に置くことで、彼の生きる指標である『合理的に生きる』の価値観に変化が生じます。異端者は天文を学んでいて、地動説をラファウに教えますが、それは当時異端とされる考えですので、異端審問官に拷問されます。

この物語は、基本的には信念のリレーというか、ただ一人の偉業ではなく、様々な人間が少しづつ少しづつ世界の変革を成し遂げていくという、そういう物語構成になっています。

初っ端から拷問シーンで始まるのですが(相当痛そうなシーンです…)、其処らへんは暈さずにかなり残酷に描いていますね。恐ろしい世界です。
この辺りはウルトラ暴力が結構あるので、そういうのが苦手な人はきついかもしれませんが、物語がぐいぐいと読ませる力があります。

でも、異端審問まではいかなくとも、このようなことは形は違えど今もありますし、例えば選挙権だったり、今の生活の一つ一つも、血の滲むような闘争を続けてきて勝ち取ったわけです。数多の屍の上に、今の生活がある。
無論、今も恐ろしい暴力がまかり通る世界もあって、そこで闘っている人もいます。

今作では地動説、地球の運動の美しさ、その神が作ったのに相違ないシステムを証明していくための物語であると同時に、人間の偉大さの讃歌のような作品になっています。

まだ2巻までしか出ていませんが、方々で話題ですし、12月発売の1巻がすでに3刷りですから、売れ行きのほどが伺えます。
また楽しみな漫画が一つ出来ました。

※ヴィンランド・サガやヒストリエが好きな方におすすめです。帯も岩明均先生が書かれていました。

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