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岡田 斗司夫 SF火星人に聞いた! 「笑う」の本質は◯◯だ!

哲学的な動画で面白いです。

ぜひ動画をご覧になってからご覧くださいませ。

https://youtu.be/9CNK3jTvJWw

僕ね「本質論」が好きなんですけども、1番最初に「本質論」をおもしろいと思ったのは、ロバート・A・ハインラインっていうアメリカのSF作家が書いた「異星の客」っていう長編SF小説があるんですね。

火星で生まれたですね、「マイケルバレンタインスミス」という子供がいてですね、その子供が人間にはほとんど出会わないまま火星の長老たち、全然正体がわかない生物なんですけど、それに育てられて大人になってから地球に帰ってくる、っていう話なんですね。

彼は、一切地球人と接触を持たずに、地球の言葉を何ひとつ知らないまま火星人として育てられたので、火星人の考え方が身についてしまってるんですね。なので特にマイクはですね、「笑い」というのが理解できないんですね。

なんで人間は笑うのか?

マイクはものすごく頭がいいから、地球の文化を次々と吸収してあらゆることが人間よりよくわかる、普通の地球人よりずっとわかるようになったんですけど、「笑い」というのが最後の最後までわからなかったんです。

しかし、ある日マイクは彼のガールフレンドにつれられてですね、冬の動物園に行きます。その動物園ではの檻があります。その猿の檻で、小さい猿が餌を見つけたんです。
そうすると大きな猿にですね、その餌を奪われて、餌を返せって「キィ」って鳴いたらね、「ボーン」ってどつかれてふっとばされるんですね。

小さい猿は、餌を奪われて殴られてものすごいくやしそうに「キィキィキィキィ」鳴いたと思うと、その隣にいる1番小さい猿をいきなり「ゴーンっ」って殴るんです。
悔しさのあまり、餌を大きい猿に取られたからといって、自分よりもっと小さい一番小さい猿を「ゴーンっ」って殴るんですね。

そうすると、一番小さい猿は怒るんですけど、仕返しができない。やっぱり自分より大きい猿に殴られたから。なので、その一番小さい猿は「キィキィキィ」って怒ったと思うとですね、地面をいきなり殴り出すんですね。

それを見てマイクは、生まれて初めてものすごい笑い方をするんですね。その笑い方があまりに「人間じみていない」。
一緒にいたガールフレンドもびっくりするんですね。

「あれを見て、悲しい気分になるのはわかるし、嫌な気分になるんだったらわかる。だって猿の中でもあんなことがあるなんて嫌じゃない。強いものが弱いものをいじめて、そしてその弱い者がもっと弱い者をいじめてる、なんでそれを見てあなたは笑うの?

って言ったら、マイクはすごい不気味な、でも止まらない「はっ、はっ、はっ」っと同じような笑い方をしながら「えっ?わからない? 僕は地球人がなぜ笑うのかがやっと分かったよ。「笑う」っていうのは、攻撃なんだよね。」って言うんです。

彼女は「違うわよ、「笑う」って言うのはもっと優しいものよ。」っていうふうに言うんですけど、「へぇ〜、君たちは、そういうふうに思い込んでるのか。
そうじゃないよ、自分の心の中をよく見てごらん。「笑う」っていうのは何かに対する「攻撃」か、「その攻撃の裏返し」でしかないから。」っていうんですよ。

その章はそこでスポって終わってるんですけど、それ以降ですね、火星から来たマイクはですね「正しい場所で」笑えるようになったんですね。
地球人の政治家からなんかジョークを言われると「あっはっはっ」って言って楽しく笑って自分からもジョークを言うし、微笑むし、ついに彼は人間そっくりになったんですね、その動物園の事件以来。


それを20歳くらいの頃に読んでから、40年ぐらいずっと考えていて、ありとあらゆる笑う場所でですね、いつも考えているわけではないんですけど、1年に何回かは思い出して「この笑いっていうのは「攻撃性の裏返し」とか「攻撃」だろうか?」とか、ずーっと検証し続けてたんですよ。

40年間、検証した僕の結論としては、ハインラインのこの仮説に間違いはないと思う。
「笑い」というのは「攻撃性」であってですね、その攻撃性が「許される感じがする」からみんな笑う、その「スレスレ感」に笑うんですね。

本来だったら攻撃性があってみんなが「えっ」って「ビクッ」ってなるところを、なんか「なぁなぁな感じ」に許される、この「緊張の緩和」でみんな笑うっていうのが、
だから「笑い」っていうのは、ある人にとっては「イジメ」になっちゃうし、誰かをイジメる時は、必ずイジメる奴らが笑うっていうのは、そういうことなんですね。

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