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『現代天文学入門』中間試験2024

今年も学部生の教養科目向けに『現代天文学入門』の講義を開講しており、中間試験を実施しました。ちなみに、2023年の中間試験の問題はこちら。

そして、2024年の試験問題はこちらです。


第1問

第一問は、「天文学は2000年以上の長い歴史を持っているけど、特に近年の天文学の発展は目覚ましいのは何故か?過去の天文学の歴史と比較して議論せよ」という問題です。近代科学の始まり、その後の科学技術水準の向上、国家として天文学にお金を費やすことができるようになった、人々の宇宙への関心の向上など、色々な要素があると思うので、これらに言及しながらの議論を期待したいです。


第2問

第2問は、「天動説から地動説への変遷についてコペルニクス、ブラーエ、ケプラー、ニュートンについて言及しながら説明せよ」という問題です。こちらは授業でも取り扱った内容であり、「コペルニクスが地動説を唱え、ブラーエは約20年近く肉眼で観測を行ってデータを収集し、そのデータを引き継いだケプラーがケプラーの法則を発見。その後、ニュートンはケプラーの法則から万有引力の形を数学的に与えることができた」の様な回答を期待します。


第3問

第3問は「ニュートンの重力理論とアインシュタインの重力理論の違いについて説明し、アインシュタインの重力理論で予言される現象について記述せよ」という問題です。ニュートンの重力理論では万有引力の大きさを計算することができますが、重力の正体については言及しておらず、一方でアインシュタインの重力理論では重力の正体は時空の歪みであると主張したこと、さらにブラックホールや重力レンズ効果、膨張宇宙などを予言することなどを書いた回答を期待したいです。


第4問

第4問は「地球の温度を求める」という内容です。授業でも取り扱ったステファン・ボルツマンの法則を用いて計算する問題ですが、誘導形式となっているので、素直に誘導に従って計算してくれるのを期待します。最後に、得られた計算結果と実際の地球の平均温度に違いがあるが、それは何故か?も問うています。


第5問

第5問も計算問題で、「太陽の寿命を求める」という問題です。こちらも計算問題です。授業で紹介したアインシュタインの有名な「エネルギーと質量の関係式」($${E=mc^2}$$)を利用して計算していけば解ける問題です。個人的にこの式は、簡単な形で書かれていまが、その一方で式の持つ意味は人類にとっての功罪両方で語られる式なので一般教養として知っていてもらいたい式です。


第6問

第6問は「もし自分で望遠鏡を作ることができるなら、どういう望遠用を作って、どういう科学的内容を知りたいか?」という問題です。こちらは、自由な発想で意見を述べる事を期待します。


第7問

第7問はサービス問題みたいなもので、「自分の好きな宇宙に関係する作品を紹介し、その理由も述べる」という内容です。私の知らない作品を紹介してくれる回答を楽しみにしています。

以上が2024年の中間試験問題です。『現代天文学入門』は教養科目なので、絶対に必要な知識ではありませんし、何か一つでも楽しめる事を身に着けてくれれば嬉しいと思っているため、試験は持ち込み可としました。問題を回答している時に、何か気付きや少しでも心に残る問題であったなら教員としてこの上ない喜びです。

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