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自閉症児の運動会奮闘記③(番外編)

息子は現在小学2年生。
発達障害(自閉症)と知的障害、睡眠障害があり、支援級に在籍している。
普段は授業のほとんどを支援級で受けているが、運動会等の行事では、通常級の子供たちに混ざって参加している。

親切なお知らせ

徒競走に出場するにあたり、今年度も、事前に我が子の走順とレーンが書かれたお知らせが、学校から配布されていた。
ちなみに、ダンスの際に息子が並ぶ位置や、移動する際の位置も、バッチリ記載されていた。

「我が子の勇姿を絶対に逃さず撮影したい」という保護者の強い意志と、それに応えてくれる学校側の配慮であろうと推測し、この親切なお知らせを初めて見た昨年度は、大いに驚いたものである。

息子の小学校では、各競技の前に、該当の学年の保護者が観覧席の前列に出られるよう、「○年生の保護者は前にどうぞ」と入れ替えの放送がかかる。
2年生の徒競走は、運動会で最初の競技であったため、自分は開会式以前から、最前列あたりに陣取っていた。

なぜそれほど撮影に適した場所が確保できているかというと、壮絶な場所取り合戦を制した、ということでは全くない。

運動会開場前のあれこれ

運動会当日は、子供たちの登校後、決まった時刻に学校の門が開場され、その後、保護者が入場できる仕組みとなっていた。
開場までは、門の前を先頭に、学校に沿ってずらりと保護者の入場待機列ができるわけである。

さて、支援級のお子さんのご家族には多いと思うが、我が家でも、運動会等のイベントに関係なく、息子に付き添って、母も毎日一緒に登校している。学校までは約1.7㎞あり、放課後デイサービスのない日は下校にも付き添うため、親もなかなかの運動量である。

運動会当日、普段通りに息子と一緒に学校に到着した後、母が一度帰宅して、観戦のため再度学校に向かうとすると、運動会の開始に間に合わない。
そのため、学校に到着した後、母は帰宅せずに、仕方なくそのまま入場待機列に並んだ、というだけの話である。

子供たちの登校直後であるため、開場まではまだ30分近くある。
周囲を見ると、非常に元気のよいご夫婦や、祖父母らしき方を含めての大人数のご家族など、既に気合いの入った保護者が何組か並んでいる。
心なしか、皆テンションは高めである。
1人でしぶしぶ並んでいる保護者は他に見当たらない。
開場30分前なので、当然と言えば当然だろう。
周囲の熱気に乗り切れないまま、ふと気づくと待機列はどんどん後ろに伸びていた。

ひたすら待つこと30分。

いざ開場されると、列の先頭から順に校庭の保護者観覧席に入場することになるため、期せずして、「徒競走ゴール付近の最前列」という絶好の撮影スポットが確保できてしまったわけである。

他保護者とのやりとり

さて、間もなく2年生の徒競走が始まるという頃、後ろにいた見知らぬ保護者から、唐突に話し掛けられた。

「何組ですか?」
「??? 2年3組です」

一瞬の沈黙が流れた後、私のすぐ隣にいた知り合いの保護者が、
「4組です」
と答えた。

おや?と思った。
その方のお子さんは2組のはずである。
そもそも2年生は現在3組までで、2年4組など存在しない。
ここで、ようやく気づいた。

見知らぬ保護者は、普段のクラスが知りたいわけではなく、徒競走の走順が知りたかったのだ。

話を聞いてみると、その方のお子さんは2組目だか3組目だかの早い組で走るので、そのときだけ撮影のために最前列を譲ってもらえないか、という相談だった。

見知らぬ保護者も、とんでもない「とんちんかん保護者」に話し掛けてしまった、と後悔したに違いない。
かなり気合いが入っていたであろう撮影前に集中を乱してしまい、誠に申し訳ない。
息子の走順は6組目であったため、自分が場所を交代する旨を申し出た。

ついでに、先ほどはクラスのことを聞かれていると思った、と一応言い訳だけはしておいた。

息子の出番はまだ来ない。

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