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【カリコレ2021】イベント付きプレミア上映会を実施しました!

8月1日に新宿シネマカリテにて、コラムニストの山崎まどかさん、映画・音楽パーソナリティの奥浜レイラさんを招いて、プレミア上映後トークイベントを実施しました。

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まず山崎さんは「女の子版の『あの頃ペニーレインと』みたいなところがあるなと思って。あの映画は1970年代の終わりにキャメロン・クロウが10代でローリング・ストーン誌の記者になる話でしたが、『ビルド・ア・ガール』も90年代に原作者のキャトリン・モランがMelody Maker誌のジャーナリストとしてデビューしたことを元にしていて、似ているかなと。でも男の子と女の子で随分違うストーリーになるなと思いました」と映画を観た感想を話され、奥浜さんも「辛口の批評みたいなものは当時実際にあったと思いますが、そういうところで抜きんでないと!みたいなところも描かれていましたね」とコメント。

本作は、1990年代のUK音楽業界舞台にティーンの女の子が音楽ライターになっていくというストーリーで、エッセイスト、コラムニストとして現在も活躍されているキャトリン・モラン氏の半自伝的小説が原作。

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山崎さんは「Webの時代になると、彼女が雑誌で記事を書くということがなぜこんなに大きいことだったのか伝わりにくいし、バンドにとっても雑誌に載る・叩かれるということが一大事だったとピンとこない世代の方もいると思います。90年代というのはまだネット前夜で、音楽ジャーナリズムにすごく力があり、イギリスは特に密なところがありました。その時代は煽るような記事も多かったのかなと。モラン氏がいたのはMelody Makerという老舗の雑誌で、作品では名前だけ出てくるNMEという同じく老舗雑誌とライバル関係でした。NME誌は、日本だとロッキング・オン・ジャパンとかに影響を与えた部分があって、新人バンドをもてはやすと有名な時期があったんです。すごく持ち上げるけど、その後フォローはしないと評判が悪かった」と映画の時代背景を解説。

奥浜さんが「当時って、「このバンドはハイプだ!」みたいな言葉とか、今見るとけっこう過激だな、はっきり言うんだなっていう表現が…」と話すと、「決めつけでよくそんなことを…みたいな記事もすごく多かったです。もう一つ言えるのは、劇中でジョアンナがあんな風にもてはやされたり有名になったりしていく背景には、裸の王様を「裸だ!」と10代の女の子が言うことで、大人が喜ぶという部分がすごくあると思うんです。それが『あの頃ペニーレインと』と対象的なところ。10代の男の子と女の子では、同じジャーナリストでも扱いが違います。ジョアンナは、自分が自己表現してみんなに認められていると思っているんですが、実際には大人たちの声に応えて彼女自身も消費される存在になっていると気がついておらず、それを悟っていく物語でもありちょっと苦い側面も描かれています」と解説しました。

またジョアンナを演じていたビーニー・フェルドスタインについて山崎さんは「彼女の名前を知ったのは『ネイバーズ2』というコメディ映画で、その頃は「ジョナ・ヒルの妹」というイメージが強くてお兄ちゃんにそっくりだなと思っていたんですけど、今はそういう肩書が何も要らないくらい存在感があります。コメディが上手なのはもちろん、共演者みんなが言っていることなんですが、彼女は天性のいい子だそうです。ジョアンナや『ブックスマート~』での役のように映画の中でひどいことをやっていも、ビーニーが演じると本当はいい子なんだと思わせる説得力があるんですよね」と話し、会場からはうなづくリアクションが起こりました。

イベント最後に、山崎さんは「10月になる頃にはもう少しコロナが収まっているといいなと思います。本日もこういう状況の中来ていただいて嬉しかったです。もちろん家で映画を見るのも楽しいけれど、映画館で一緒に見る楽しみというのも絶対にあるので、そういうものが10月まで途絶えずに、皆さんが面白かったとぜひ周りに進めていただいて、10月にはもうちょっとたくさんの人に見てもらえるといいなと思います」と締めくくりました。

映画『ビルド・ア・ガール』は10月22日公開です!

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