私と彼のこと（609）－折り紙－

彼のために、折り紙で恐竜を作る。
それ自体は褒められたのだが、そのために購入した大判の折り紙の値段を白状したら妻（彼の祖母）に怒られた。

老眼が進んだし、指先の感覚も鈍る一方で、通常サイズの折り紙だと複雑なものは作れなくなっている。
彼は、私の覚束ない手指の動きを、さらに邪魔するようにミニカーを走らせる。
Ｒさん（彼の母親）は少し気にして、「ほら、じいじが作ってくれるの邪魔しない」とか言ってくれたが、彼はどこ吹く風。
私も、実のところほとんど気にならない。

色々衰えている一方、自分にも他人にも辛抱強くなった。
老人力の向上である。