身の丈に合った悩み
世界平和、世のため人のためにはワタシはなんでもする。ワタシこそが、社会を変えていかないといけないのです。人のために役に立つことをしなければ、何のために生きてるのかわからなくなる不安。
何かに反省して感動し、奉仕しないといけない。勉強して啓発して、発信し、人と共有しなくてはならない。ワタシ、これだけ役に立つ、価値のある人間ですと。
しかし昨日何を食べたかも覚えていない。自宅内は常にぐちゃぐちゃ。庭は草ぼうぼう。冷蔵庫の中の肉はしょっちゅう腐ってる。
人の顔も名前も、話した内容もすぐ忘れる。
約束は何年も保留のまま。会おう会おうと。
気がつけば、友人はバーチャルの世界のみ。リアルの友人はほとんどいない。
しかしワタシがどれだけ世のため人のためにお勉強して悩み、リアルな生活を犠牲にしたところで、世の中は1mmも変わらないのは何故だ。
選挙の投票。ワタシが行っても行かなくても、当選する人間が変わることはない。
どれだけ大きな声をあげても、ワタシは浮き、クレーマーと呼ばれる。仲間を作って集まっても「一部のうるさい人達」と嫌がられる。
実は、こうだったのか。
悩む必要のないことは悩んではいけない。聞きたくない情報はブロックする。社会の事をすべて知る義務なぞ、ない。無知は悪いことではないのだ。
残虐な事件の原因、テロの原因、人権を蹂躙される人達の事、そんな人達同士がまたいがみ合う悲しい事、環境破壊、放射能汚染の恐怖、考えられるあらゆる突然の災害。
それ、考える必要ありますか。
個人が考えて無益な事は、考える必要がない。心配を無駄に増やすだけだ。
それよか、今考えるべきはこれじゃない?
滞ってる仕事のタスク管理、予約できてない病院の診察、足りなくなった調味料、壊れた電化製品の修理の手続き、宅配物の再配達手続き、締め切り直前の納税、整理整頓に掃除、衣替え、何ヵ月もほったらかしのボタンの縫い付け、昨日無くしたクレジットカードの紛失手続き、車のガソリン補給。
ほら!世界平和どころじゃない!自分の生活すら危ういのに!
スケールの大きすぎる偽善。
自分の生活からの現実逃避である。
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