自分たちの感情に耳を傾ける結婚式準備
今年の11月中旬
お花屋さんのふたりの結婚式を担当させていただきました
その時の結婚式三日前の出来事が、これから結婚式準備をする方や、結婚式を検討している方の少しのきっかけになったらいいなぁと思うので、ここに残したいと思います
ふたりとの出会いや
プロデュースに込めた想いなど
綴りたいことはたくさんあるのですが
ここでは
結婚式の三日前
最後の打ち合わせでのことから…
◇
改めて、結婚式への思いを教えてくれた新郎のしゅんすけさんの言葉が、私たちにきっかけをくれた
「準備を始めた当初は、結婚式の目的は100%、奥さんと奥さんのお父さんお母さんのためだったんです。でも結婚式のために市場にいって仕入れをしたり、製作する中で、すっごい楽しんでいる自分がいて、あ〜自分のための時間でもあるんだなってやっと実感しました。
普段仕入れや店舗の管理にまわっていたから、久しぶりに表現というものと向き合って、それがしたかった自分に気付いたし、何よりも、社長である父に、こんな表現もあるんだなって認めて欲しいなって。すこし怖いですけど。」
上司であるお父様とお母様への尊敬心が強い分、
ふたりに頼らず自分たちで表現し切ることへのハードルと、ふたりからの評価が気になっているというストレートな気持ちを受け取った打ち合わせの時間
結婚式をプロデュースすることは、
こうして生まれた感情という生物を受け取った時、どうするかが自分にかかっているということであると再認識する瞬間だった
ふたりとの打ち合わせが終わり、そのまま司会者の藤田さん(通称がちゃさん)と「ぶっちゃんはどうしてあげたい?」こうしたらいいかな?どうしたらどんな思いになるかな?と対話を繰り返した
この日をプロデュースするにあたって詰め込んだ想いがすでに溢れに溢れていたからこそ、シーンと感情導線を整理すること、その場の登場人物全員の感情になって想像すること、その上で決断するには少し冷静にある必要があった
・仕事でも家でも顔を突き合わせるご両親のことを尊敬するしゅんすけさんの気持ち
・気づいてしまった自分の本音
・それを見守ってきたみさきさんの応援したいという愛情
・まさかそんな気持ちになっているだろうとは想像していないご両親の当日の感情
・ずっと見守ってきたみさきさんを包み込むみさきさんのご両親の目線
いろんな人の気持ちになり
その人の目線に立ち、考えた先に
ふたりが会場をご両親へお披露目する時間
そこでしゅんすけさんが素直な想いを伝えられる時間を作ろうとふたりに伝えた
緊張するだろう、と、しゅんすけさん
でもここを逃したら、もう勇気を出して伝えられないかもしれない、と、みさきさんの後押しもあり
ふたりもそれに賛同してくれた
シーンの組み立ては
映像クリエイターの陣さんへ相談
こんな経緯があってこういうシーンを作りたいんだけど、どんなタイミングで、立ち位置はどうだったらいいかな?このパターンもあって、こっちだとこれが懸念で、と、あれやこれとできる限りの案を出してその中でのベストを決める
ひとりで突っ走ることもできる中で
がちゃさんや陣さんが
私と同じくらいにふたりの人生と向き合ってくれることが嬉しい
私のプランナー心も見落とさず寄り添ってくれて
本当にありがとうございました
そんな時間をかけて、
やっとこの時間がきっとふたりの人生にとってかけがえのないモノになると自信を持って、当日を迎えた
最終調整をして
衣装に身を包んで高砂に立つふたりと
目をつむりながら会場の中央に立つご両親の姿
あっという間にその瞬間がくる…
「きっとここで大切なことは相手の反応ではなく、ふたりがやりきったと思える達成感だよ、本当によく頑張ったから自信もって」と、マイクをしゅんすけさんに手渡す
「なんとか準備して、ここまで辿り着けました。今日は自分も素直な気持ちでいたいと思うから、ふたりにも、特に親父には素直な気持ちで見て欲しいです」
両親であり上司であるふたりへ向けられた精一杯の言葉だった
お父様から帰ってきた言葉は
「これからの人生もっと大変なことがあるんだぞ」という叱咤激励だった
言葉こそ、想像の通り厳しかったが
目を開けて会場を見渡すと、誰よりも早く足が動き、ふたりの近くに寄ろうとする
気持ちを受け取った
それに返事をする手段は言葉だけではない
目線や、表情、行動
それぞれの手段があって
お父さんのその誰よりも早い一歩が
私には愛情として伝わってきた
高砂には
笑顔で照れくさそうなしゅんすけさんと
ぼろぼろ泣くみさきさんの姿があった
この時間があってよかった、と
この場にいた全員が安堵した
うん、ちゃんと伝わってる、伝わってるよ
この時間があったからこそ
人生が劇的に変わったなんてことはなくて
それでも数年後
じわじわとこの時間のパワーが家族を幸せに導いたらいいなと思う
簡単なようで自分自身と向き合うのは難しい
それでも本音で向き合ってくれたふたりへ
私はこれからも、ずっと、ずっと、感謝を伝えたい
あの時話してくれてありがとう
決断してくれてありがとう
勇気をだしてくれてありがとう
きっとこれからもいろんなことがあるけれど
ふたりの出した勇気は
次、また、誰かの勇気に繋げます
それがプランナーの役割だと思うから
そして、これを読んでくれた方へ
自分の感情に耳を傾けるきっかけになりますように
それで結婚式の内容が変わるかもとかそんな心配はせず
素直に、ありのままで、
その時の感情を放置してしまわないように
きっと未来が少しずついい方へ進む気がします
そうなんですねと返答することで終わらせることもできた結婚式の三日前
そのままにする選択せず、
何度も何度もジャンプしてしゅんすけさんの感情を掴んでみて
いろんな角度から観察して、想像して、
あたためてみる
その選択をしてよかった
ほんのささやかなことだけど
これから
自分と向き合う時、勇気を出したいときは
ふたりのことを思い出します
相手の感情を受け取る時は
お父様のことを思い出すかな
あったかい気持ちになって
また私らしく結婚式を創っていきます
担当させてくれてありがとう
これからも結婚式という日が
ふたりの御守りになりますように
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