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『霞ヶ浦を徒歩で一周』2017年11月6日(月)3日目

 《小美玉市下玉里~行方市麻生小高干拓エリア》 

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 昨夜はインナーウエアを着たまま軽めのダウンジャケットを着て、シュラフに潜り込んだにもかからず、寒さのせいで夜中に何度も目が覚めてしまった。そんなわけで寝不足気味ではあったが、すこしでも早く出発したかった僕は、日の出時間の午前5時30分にテントから出た。月はまだ空にあって、朝陽と交代の時を待っていた。寒いといっても霜が降りるほどではなかったのが救いだった。


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  キャンプ場ならば大きめのテントが軽く50~60張りできそうな、広い芝生の敷地がある公園の中央にはテーブルも備えた東屋がある。外に出て歩き始めると、左足の脛(すね)の部分に今まで感じたことのない、突っ張るような痛みを感じた。おそらく昨日、右足の痛みをかばって歩いていたために負担が偏ってしまったのだろう。痛みがあった右足の甲の、親指の部分は、昨夜貼った鎮痛剤の入った湿布のおかげで軋(きし)んだ感じはするものの、あまり痛みは感じなかった。東屋の方を見てみると、すでに地元の六十代後半くらいの男性が来ていて朝陽を浴びるような動きで体操をしていた。

「おはようございます!もしかして、毎日いらしてるんですか?」

「そう、毎日来てるよ、こうして体操をしにね。いつもは仲間も来るんだけれど、今日はおそいねぇ。おたくは、自転車かい?」

「体操ですか!いいですね。僕は、歩いて霞ヶ浦を一周しようとおもって、今日で三日目なんです」

「どこから、歩いてきたの?」

「阿見町からです」

「テントで寝泊まりして?」

「はい、ゴミを拾いながら」

「そりゃ、すごいね」

「ええ、ちょっとした企画で」

「そうかい、頑張って!」

「ありがとうございます」

 そんな会話を地元の人とするのも、とても楽しかった。僕は地元の人が去ってから、まずテント内の荷物だけを東屋に置き、何度か往復してテントを含むすべての荷物を東屋に移動させた。東屋はとても日当たりが良く、結露で湿ったシュラフも、ずぶ濡れになったテントも、朝陽を浴びてすぐに乾きそうだった。テントをバラして適当な場所に広げ、シュラフは東屋のベンチに置いて乾かしながら、昨夜、横山さんから差し入れてもらった煮物と、いなり寿司で朝食を済ませた。

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 湖畔で迎える二度目の朝陽は、とても優しかった。東屋のベンチに座り湖を眺めていると、今日一日歩くための活力が湧いてきた。僕は乾いたテントとシュラフを仕舞って、すべての荷物をパッキングしてから入念に足のストレッチを行った。

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