見出し画像

気になる統計 令和3年地価公示

2021年3月23日に国土交通省が令和3年地価公示を公表しました。同省ウェブサイトに詳細なデータが掲載されるとともに調査結果の概要をまとめた資料が掲載されています。本年の公示地価の全国平均は6年ぶりに下落に転じ、用途別にみると住宅地は5年ぶり、商業地は7年ぶりの下落となりました。

都道府県別にみると住宅地の地価が上昇している都道府県数は前年の20から8に減少、商業地の地価が上昇している都道府県数は前年の24から7に減少しました。住宅地、商業地ともに上昇しているのは北海道、宮城、千葉、福岡、熊本の5道県です。住宅地の上昇率が最も高いのは北海道と福岡が同率で1.5%です。商業地の上昇率が最も高いのは福岡の2.4%です。報道等によると北海道と福岡県はもともと三大都市圏より地価が割安であることに加え、北海道では世界的なコロナ禍にもかわらずニセコリゾート周辺の地価が引き続き上昇するとともに日本ハムファイターズの新球場の周辺地が上昇しているようです。福岡では博多・天神の再開発が進んでいることが商業地の地価上昇の理由のようです。

圏域別にみると三大都市圏平均では住宅地が0.6%の下落、商業地が1.3%の下落となり、地方四都市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)では住宅地が2.7%の上昇、商業地が3.1%の上昇となり、その他地方圏では住宅地が0.6%の下落、商業地が0.9%の下落となっています。地方四都市は以前から三大都市圏より上昇率が高かったのでコロナ禍においても辛うじてプラスとなったようです。コロナ禍の直撃を受けた三大都市圏ではその他地方圏以上の下落となり、その他地方圏では昨年ようやく下げ止まった地価が再び下落に転じました。

以前、拙稿「長期的な物価の変動要因について考える」に書いたとおり地価が上がらないと物価も上がりにくくなります。コロナ禍で地価や賃金が下落すればデフレ脱却はますます遠のくでしょう。

【関連記事】


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?