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気になる統計 家計調査 2020年(令和2年)9月分及び7~9月期平均

2020年11月6日に総務省から家計調査 2020年(令和2年)7~9月期平均が公表されました。ポイントを同省ウェブサイトから抜き出すと以下のとおりです。

消費支出は総世帯でマイナス10.2%、2人以上世帯でマイナス8.3%となっており、総世帯のより2人以上世帯の落ち込み幅が小さいことから単身世帯でかなり落ち込んでいると思われます。勤労世帯の実収入をみると総世帯が4.6%の増加、2人以上世帯が4.7%の増加となっておりこちらは同程度に増加していることが分かります。

実収入が数パーセント増えているのに消費が1割程度落ち込んでいるということは消費の落ち込みの原因は収入減少ではないということです。当然コロナによる自粛の影響であろうと思われます。消費の落ち込みの原因が収入減少ではないときに現金を全国民に一律給付するという施策は経済対策としては効率が悪いであろうことは当然予想されます。結果として特別定額給付金の分だけ国民全体で預貯金が増えるという麻生大臣が指摘する事態になりました。このあたりの分析については拙稿「特別定額給付金と預貯金の関係について考える」に書いております。

同時に9月分の家計調査も公表されているのでその中から消費の内訳をみてみます。【調査結果の概要から引用】

家具・家事用品という項目が落ち込んでいます。この標章だと分かりにくいですがこの項目はいわゆる白物家電が含まれます。特別定額給付金が給付された6月頃は家電の売上げが好調でした。5か月ぶりの実質減少との注記があるようにこれは定額給付金の反動減である可能性もあります。結局は消費の先食いでしかなかったのかもしれません。

それ以上に落ち込んでいるのが被服類です。こちらはコロナ以前からの12か月連続の減少ですがコロナによって減少幅が大きくなっている可能性があります。この業界の就労構造に鑑みると、全項目中で最大の落ち込みがみられるにもかかわらず政策的な手当が薄いことは、夏頃にみられた女性の失業率の上昇と関連があるのかも知れません。

教養娯楽という項目も落ち込んでいますがこれには旅行が含まれます。こちらはGoToキャンペーンで手当てされているところです。また外食はこの表では隠れてしまっているのですが詳細をみると勤労世帯で約20%、無職世帯で約35%落ち込んでいます。外食から家での消費にシフトしているので食料全体の平均ではそれほどの落ち込みが出ていないのです。

教育費が対前年同月比で落ち込んでいるのには保育無償化の影響があります。下落幅の実質と名目が大きく乖離しているのは保育無償化の影響が大きいと思われます。保育無償化による名目上の消費減少に関しては実生活には影響がない話になりますが2か月ぶりに実質でも減少しているとのことからひょっとするとコロナ関連で大学をやめたというような影響が出ているのでしょうか。

医療費も落ち込んでいますが本来、必要ないのであれば病院に行ったり薬を飲む必要もないでしょうから、こちらは消費という面からは心配する必要はあまりないでしょう。

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