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気になる統計 毎月勤労統計調査 2020年10月分結果確報

2020年12月22日に厚生労働省から「毎月勤労統計調査 2020年10月分結果確報」が公表されました。概況を引用すると次のとおりです。

これに続いて様々な分析もされていますので興味深いものを引用します。

10月は名目賃金の回復は若干弱まったくらいなのに実質賃金が急に上がっているのが分かります。実質賃金というのは、実際に払われた賃金の平均値の変動を表す名目賃金を物価変動率で割り戻した計算上の数値です。実質賃金が名目賃金を超えて上昇するのは物価が下落しているからです。実際に10月の物価は下落しています。その要因は以下の記事に書いていますので是非ご覧ください。

旧民主党に所属していた国会議員がたまに旧民主党政権では実質賃金が上昇していたと自慢することがあります。しかし旧民主党政権期は名目賃金は下落していました。ただしリーマンショックによる不況で賃金よりも物価のほうがより下落したので実質賃金が上がっていたのです。不況下で実質賃金が上がるのは決して喜ばしいことではないのです。

もう一つ、労働時間の動きを引用します。

ここで注目すべきは、10月は所定外労働時間がそれ以前よりやや回復したのに先ほどのグラフで見たように名目賃金の回復は若干とはいえ鈍化していることです。これは一般の職員の給与の減少の主な要因が所定外給与の減少であることに鑑みるとちょっと奇妙な気がします。

そこで名目賃金の動きに関する要因ごとの寄与度をみてみましょう。

これをみると過去数カ月のプラス側の要因はパートの比率の寄与が大きかったことが分かります。そしてこのプラス幅がだんだん小さくなってきていることも分かります。パートの比率がプラスに寄与するのはパートの実数が減っているということです。名目賃金は先ほど述べたように平均値の動きなので給与が低いパートが減ると平均が上がります。この寄与度が低下するのは需要が次第に回復してきてパートの雇用も回復しつつあるということです。これは景気が回復してもむしろ平均賃金は伸び悩む場合があることを示しています。実際にアベノミクスの7年間はそんな感じでした。

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