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気になる統計 家計調査家計収支編(2020年12月分、10~12月期平均及び2020年平均)

2021年2月5日に総務省から家計調査家計収支編の12月分、10~12月期平均及び2020年平均がまとめて公表されました。これらの結果を表にまとめると次のとおりとなっています。

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2020年平均をみると実質値と名目値が等しくなっています。2019年10月に消費税の引き上げがありました。消費税は消費者物価指数については物価の上昇と捉えられますので2020年の前半は前年同期比で物価が上昇します。しかしその効果は9月までであり10月以降は消費税引き上げが織り込み済みとなるので、エネルギー価格の下落に加え、天候要因で野菜等の生鮮食品の価格が暴落したため消費者物価指数はマイナスとなりました。これを通年すると物価は昨年並みということです。消費者目線では消費税引き上げの影響がエネルギー価格と野菜等の価格の下落によって打ち消された形になっているのです。他方10~12月期と12月分は消費者物価の下落の影響により名目値より実質値が高くなっています。

また2020年平均では消費が大きく落ち込む一方で実収入が増加していることが分かります。しかし10~12月期では前年同期比で実質消費が回復して前年並み以上になっている一方で収入も前年並みに落ちています。12月になると実質消費が再び落ち込み、実収入は消費以上に下がっていることが分かります。

2020年前半は緊急事態宣言による広範な自粛で消費が落ち込む一方、雇用はまだ比較的守られており、また特別定額給付金が支給されたために実収入が増えたのだと思われます。しかし後半になると景気悪化の影響が収入に現れ、さらに12月にはボーナスが下がったために実収入が落ち込んだのでしょう。他方、消費については10~12月期では各種Go Toキャンペーン等もあって前期比が大きくプラスになっており相当程度の回復がみられたのですが、コロナ第3波が深刻になってくる12月には消費が再び落ち込み始めたのです。

このように3つの期間を並べてみると2020年の激動の様子が見て取れるのです。

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