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クリームパン売りの情状

こないだね、駐車場でスマホをいじってたんです。

天気が良かったから。あの車の縁石のところに座って空見上げながらスマホをいじってのね。

そしたらクリームパン売ってる人が通りかかって「こんにちは」って言ってきたの。

当然のことながらこんにちはって返したの。

「クリームパンいかがですか??」っていうの

捕まったと思ったの。でも家に篭るばかりの日々で家族以外と話すこともなかなかない。何か面白いこと起これと近寄ってみたの。

なんでもイベント系の仕事をしたくて十勝から一月前にやってきてのに気づいたらクリームパンを住宅街で売り歩かされているらしい。

不遇な男。なんて不遇なんだ。カワイソス。もうクリームパン買いたくなってる。

身の上話を聞いた上でいざクリームパンを見せてもらう

一個330円

殴りたくなるくらい高いな。多分こういう移動販売とかなら普通なんだけど殴りたいな。

6個セット1980円。

セットで安くしろよ。シンプル掛け算すんなよ。まとめ買いは安いのが資本主義ちゃうんかい。6個買いますでええやんけ。まじ殴りたいな。

値段の説明をしてもらっている最中気づきます。

この人汗臭い。確かに日は照っているけどそこまで暑くないそんな日。

きっと僕と出会うまでに相当な距離を練り歩いてきたんだろうな。断れたこともあっただろう、無視されたこともあっただろう。

そんな彼の苦労が汗となって匂いとなって現れていたのです。

「買います」

涙脆い私の心は買う一択でした。もしかしたら発汗が抜群にいいのかもしれない。苦労なんてしてない販売開始2メートルかもしれない。

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