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文章置き場:『百の夜は跳ねて』

古市さんの『百の夜は跳ねて』を読んで心に残ったフレーズを置いておきます。他の本でもこういうのやろうかな。

その気持ちは僕にもよくわかる。だけど、よくわかる分だけ、老婆の言葉には若干の強がりが含まれているんじゃないかと疑ってしまった。僕も一人での暮らしに何も困ったことはない。大学時代に戻りたいとも思わない。それでもふと不安になる瞬間がある。たとえばすぐには眠りに就けない夜は、このまま死ぬまで誰とも親密な関係を築かずに生きていくのかと自問自答してしまう。

p117‐118

いくら頑張ったところで、報われる人間なんてほんの一部だ。だったら死んだように生きている僕のほうがマシだと思っていた。だから後悔をしているわけではない。想像していたよりも僕と同級生との距離は、遠くなってしまったのは確かだろうが、それは間違いなく僕の責任だ。

p133-134

「(前略)それからずっと気にしていたのかも。正当な理由を掲げれば、他人は納得してくれたり、そういうふりをしてくれるでしょう。だけど自分自身で、何かが完璧に正当だったと信じるのは、あまりにも難しいのね」

p138

古市憲寿、2019、『百の夜は跳ねて』新潮社。



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