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『スピノザ─読む人の肖像』

という本を読んだ…ではなく、読んでいる途中、というかパラパラとめくって眺めている、と言ったら良いか。なぜかというと第一章を読み終えた辺りですでに挫折しかけているからです(笑)

最近なんだかやたらとスピノザの名前を目にするのでとりあえず図書館で借りてみたのだけど、第一章を読み終えたところで、この本は簡単に読破出来るものではないぞ…!と気付きました。文体自体は決して難しくはないのですが、うすぼんやりした知識だけでは立ち行かず、なかなか読み進められないと言ったらいいか。字面を追うだけならもちろん読めるけれど、それは読んだうちには入らないので。

そんなわけでまずは全体的にどんなことが書いてあるか把握してみよう!そうすれば読破出来る可能性があがるかも、と2章から最後までパラパラめくってチラ見してみることにしました。そこで引っ掛かったワードがまずレンブラント、レーウェンフック、フェルメール。おっと!知ってる名前が出てくると嬉しい(笑)

スピノザはどうやら彼らと同じ時代に生きたようです。レンズ磨きの玄人はだしだったというスピノザ、そして当時最先端の技術であったレンズを用いて絵を描いたとされるフェルメール。そこで接点があったのでは?という説があるらしい。スピノザからフェルメールと思われる相手にあてた書簡も見つかっているようです。

さらにあのレーウェンフックをモデルに描かれたとされている《天文学者》の顔は実はスピノザによく似ているとか…!しかもこの絵の最初のタイトルは「哲学者」だったそうです。ということはもしかしてもしかするとこの絵はスピノザがモデルなのかも?そう思って絵を眺めるとワクワクしますね!

フェルメールの《天文学者》

ちなみにレーウェンフックの名前はあのフェルメール好きで知られる福岡伸一さんが著書でよく取り上げているので知っていました(それまでは知らなかった)。福岡伸一さんの本を読んでると必然的にフェルメール関連にも詳しくなるおまけ付き(笑)ちなみに今度福岡伸一さんと坂本龍一さんとで共著した本が出ます。これまた楽しみ!

さて話を戻して、さらに引き続きパラパラめくっていると、再びとある文章に目が止まりました。それはアレクサンドル・デュマの小説『黒いチューリップ』についての記述。その文章の一部がまるまる転載してあったのです。それを見てあっ!と思いました。なぜなら私は一昨年、この作品を久しぶりに読んでいたからです。家に少年少女向け物語集みたいなのがあり、子供の頃にこの『黒いチューリップ』を読んだことがあったのでした。

改めて読んでみたらこれが面白くてびっくり!『黒いチューリップ』はオランダの革命の時代を舞台に繰り広げられる劇的な物語なんだけど、絵になるシーンと、演劇で演じられるような台詞まわしと、ぐいぐい世界の中に引き込む物語の展開とで夢中になって読んでしまったわけです。アレクサンドル・デュマの作品もまた読もうかな。

そしてなぜこの『黒いチューリップ』がスピノザと関係があるかというと、1672年ハーグに住んでいたスピノザは、監獄の前でホラント州法律顧問(当時のオランダの首相に相当する職)を辞任したばかりのヤン・デ・ウィットと、その兄コルネリス・デ・ウィットが群衆によってなぶり殺しにされたのを目の当たりにしたらしいのです。

『黒いチューリップ』は監獄を舞台に繰り広げられるお話ですが、その監獄がまさにその場所なのです。アレクサンドル・デュマは上記にあげた大事件のいきさつも取り入れて『黒いチューリップ』を書き上げているのでした。一昨年たまたま思いつきで読んでいた本がここでつながることになるとは…!(ていうか私が本を読もうとする時はたいてい思いつきなんですけど)。

そしてまた話は飛びますが、暴徒化した民衆によって残虐な最期を迎えた…というくだりでふとヒュパティアのことを思い出した私でありました。ヒュパティアについてご存知ない方がいたら、かつてこんな人がいてこんなことがあったと知って欲しいです。

と、いうわけで…ここまで哲学について全然触れてないな!(汗)とにかくこの『スピノザ─読む人の肖像』は、著者が10年の歳月をかけて執筆した本でもあるそうなので、借りて読むのではなくやっぱり購入してじっくり読むべき!と思いました(という感想でした)。

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