Coinmarketcapの功罪

Coinmarketcapの影響力

仮想通貨の世界で有名なランキングサイトといえばCoinmarketcapですね。知らない人はおそらくいないのではないでしょうか。一箇所にいろんなデータが集まってて便利です。
(ここでこの記事の「功罪」の「功」は終わりです。)

アルトコインを取引する人が必ずといっていいほど参照するサイトですが、現在Coinmarketcapに載っている2000通貨以上のうちトップページである「1ページ目」に乗ることができるのは100通貨のみです。トップ100に入っているかどうかで時価総額に対する出来高が大きく異なるという事実が市場への影響力の大きさを表しています。

(グラフ:100位付近は入れ替わりが激しいため、時価総額あたりの出来高の水準の12ヶ月平均が急降下する)

Coinmarketcapのデータは、「BTCドミナンス」などのポピュラーな指標を計算するのにも利用されています。供給が有限であるビットコイン(または特定通貨)と無限である仮想通貨全体の比率であるドミナンスは自然に下がっていく数字なので解説は割愛しますが、上のグラフは出来高を時価総額に加味することでドミナンスを求める試みから引用しました。

しかし、SNSを見るとCoinmarketcapのデータの信用性や資金源、流通枚数の計算方法などに対して断続的に疑問が述べられています。

資金源の広告はネズミ講

2017年からCoinmarketcapの影響力を危惧する声はありました。ネズミ講であったBitconnectの広告をはじめ、仮想通貨初心者がたくさん集まるサイトにも関わらず多くのネズミ講の広告を表示していたことのモラルが問われたり、流通枚数の計算方法が疑問視されてきたりしました。

「日利○%」を謳うネズミ講の広告が同時に3種類表示されている様子

不正なデータの影響力を排除する試み

最近「俺のインデックス」に寄稿させていただいた記事で出来高捏造の広まりについて書きましたが、そのプロセスのカギとなるのがCoinmarketcapへの注目です。みんながそこに載っている出来高などを信用する限り、出来高捏造はなくなりません。

そこで、Coinmarketcapに代わるランキングサイトを作る動きがあります。
例えば、Coinmarketbookでは出来高ではなく「現価格から10%以内の板の厚さ」という指標を用いて仮想通貨をランク付けすることができます。この数字を時価総額で割ることもでき、「流動性が価値」という前提の指標としてはある意味で出来高より優秀なのかもしれません。しかし当然、これらの指標も内部的にノーコストでいじってしまうことができるので、出来高を捏造する取引所のデータは一切排除するという動きが主流になりつつあります。OpenMarketCap「俺のインデックス」で触れたBitwiseのレポート「出来高が信用できる」と評された取引所のデータのみを利用しています。他にもブロックチェーンリサーチ会社MessariのOnchainFXなどがあります。

終わりに

悲しいことに、ランキングサイトに運営コストがある限り、広告収入に頼るのであれば詐欺的な広告を掲載したり、不正なデータを載せたい取引所と癒着するインセンティブが生まれてしまいます。ですので、代用サイトの開発が必ずしも正解とは思いません。流通枚数や出来高等の指標の判断基準の公開も透明性の向上には寄与しますが、公開したために狙い撃ちで対策される可能性があります。
フェイクニュースなど世界的に情報の信用性が担保しにくい時代になっていますが、私にはその流れの先に最終的には信用できるデータの有料化があるような気がします。また、クローズドなシステムを信用できない時代だからこそ、誰でも検証できるブロックチェーンが注目されるのだと思います。

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