見出し画像

仕事で本気になれず悩んでいる人が、本気になるために必要なこと

「〇〇では本気になれたんですが、仕事だと本気になれないんですよね。」

 これは、新入社員や若手社員の研修をやっていると、よく相談される悩みです。〇〇には、スポーツ、ゲーム、バンドなどが多いですね。

 実は、私も仕事を始めてからずっとこの悩みを抱えていました。仕事自体は一生懸命やるタイプだったので、手は抜いていないし、会社から期待される成果は残していました。でもどこか「野球部の時の自分はもっと本気だったのにな。本気を出せればもっと成果ができるのに。」と思っていたんです。

 私は、その悩みを解決するまでに約7年かかりました。ですが、時間はかかっても自分で解決策を導いてきたからこそ、これまで研修の受講生たちに共感・納得を得てきました。

 今日は、その話を書いてみます。

熱中に必要なのは、仮説・試行・歓喜

 まず最初に結論から言えば「本気になる=熱中する」ために必要なことは、仮説・試行・歓喜のサイクルを回すことです。

 仮説とは、「自分がこうやったらうまくいくんじゃないかと考えること」
 試行とは、「仮説を実行に移してみること」
 歓喜とは、「仮説を実行に移した結果、喜びが得られること」

です。

そして、そのサイクルを回すことでその歓喜は強化され、「もっとやりたい!」という内発的な動機が生まれてきます。

 ※文脈は異なりますが、主にゲームデザインに関して書かれた書籍「ついやってしまう体験のつくりかた(玉樹真一郎著)」に、この考え日が書かれています。(最後にリンクを貼っておきますね。)


図解すると以下のようになります。

ブログ図解用.001

 熱中とは何かを考えると「大きな歓喜・強い欲望を手に入れたい」と思うことだと考えています。

スポーツは熱中しやすい仕組みである

 その点、スポーツはこの熱中サイクルが回りやすくなっています。

 スポーツは遊びから生まれました。なので、どんなレベルからでも始められますし、「うまくいった」「うまくいかなかった」のフィードバックもすぐに得られます。そして大抵の場合は、同レベルの人同士で行います。

 なので、「こうやってみよう!」と思って実行したことが、「うまくいった!勝った!」という歓喜に繋がりやすいんですね。だから、すぐに内発的動機づけが作られ、この仮説・試行・歓喜のサイクルを回すことで、さらに内発的動機が強化され、熱中していくという流れです。

  つまり、スポーツは人を熱中させるようにデザインされている。だから、スポーツだと熱中できるのに、は当たり前のことなんです。

仕事は、社員が熱中するデザインにはなっていない

 では、仕事の方はどうでしょう?仕事は、熱中するように設計されているんでしょうか?

 違いますね。(もちろん、社員を熱中させようと意図して組織を設計している会社は除きます。)仕事の主要な目的は、「利潤を追求するため」「顧客を満足させるため」なんです。つまり、そもそも熱中できるようにデザインされてはいません。

必要なのは工夫と難易度調整

 では、仕事で本気(熱中)になるには、どうしたらいいんでしょうか?

 それは、自分で仮説・試行・歓喜のサイクルを回すことです。ここは強調しますね。自分で、です。

 なぜか。

 多くのケースでは、上司や同僚、顧客から褒められたり感謝されたりすることで歓喜するケースが圧倒的に多いんです。ですが、残念ながら、それは自分ではコントロールできません。環境によっては、なかなか褒めてもらえない環境だってありますよね。であれば、自分で仮説・試行・歓喜のサイクルを回せるようにならなくてはならない。

 そのために重要なことは、自分の工夫と仕事の難易度設計です。

 本当の歓喜を得るには「自分なりの仮説(こうしてみたらうまくいくかな?)」が重要です。上司や誰かの指示通りやってうまくいっても、それは本当の歓喜には繋がりません。自分がこうしようと思ったことがうまくいって、初めて本当の歓喜が生まれるんです。

 そしてもう1つ。仕事の難易度設計について。これは本当に重要です。

 これはいつも例に出すのですが、ドラゴンクエストを始めたばかりのレベル1の段階で、いきなりバラモス(強いボス)が出てきたらクソゲーですよね。だって、バラモス倒すレベルになるまでどれだけ時間かかるんだって話です。つまり、歓喜の瞬間がほとんどないんです。

 個々の力量に合わせて難易度設計ができている会社はほとんどありません。多くの会社は、大なり小なり「いきなりバラモス状態」です。

 そんな時は、自分で難易度調整しましょう。まずいまの自分の力量を知る。その上で、いまできていないけどちょっと頑張ればできるかもしれないところに目標を置く。それはできるだけ小さい方がいいです。

 営業電話をいままでかけたことがなければ、かけただけで「おお!オレすごい!」って。笑

 でも、そんな些細なことでも行動変化を積み重ねれば大きな変化を起こすことができます。なので、些細な1歩でも1人で勝手に喜ぶ。その繰り返しです。

その小さな工夫と小さな歓喜。これを仕事の設計に組み込むことが、自分を熱中のサイクルに入れるコツです。

 ぜひ試してみてください。

もう1つの解決策

 今回は、あくまで新入社員ができる方法について書きました。

 ですが、そもそも仕事が熱中するデザインになっていないとしたら、熱中するデザインにすれば自然と多くの社員が熱中するんじゃないかと思う方もいらっしゃると思います。その通りです。

 それをやるのが私の仕事です。組織を変え、マネジメントを変えること。社会人の熱中を生み出す組織デザイン、マネジメントデザインにも取り組んでいます。

 興味ある方はいつでもご連絡ください。


■この記事に関連した書籍

ついやってしまう体験のつくりかた(玉樹真一郎)

Hooked ハマるしかけ

ハーバードビジネスレビュー





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?