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【M-1グランプリ2020】どうしても笑わせたい人がいる男たちの闘い


皆さん、M-1グランプリは好きですか?
僕は大好きです。


初めて見たのは確か2005年。
ブラマヨが優勝した年ですね。
その頃はネタ番組のひとつのような感覚で見ていた記憶でした。

熱中するようになったのは2008年。
この年あたりから、敗者復活戦から見ていた気がします。
この大会で準優勝したオードリーは、今でも大好きなコンビです。


先日、2020年12月20日。
第16回となるM-1グランプリが開催されました。

優勝したマヂカルラブリーをはじめ、敗者復活戦から、たくさんの漫才が見れて幸せな1日でした。

M-1グランプリ後は、「あのコンビ良かったよねー」みたいな話で友人と和気藹々したい所存であったものの、お笑いの話ができる友人が皆無であることに気づいた私は、(ちょっとイタイかもだけど)M-1の感想をツラツラ書いていきたいと思います。

以下、決勝・敗者復活戦・予選・その他で感想を書いています。
感想や考察はあくまで、イチお笑いファンである私個人の考えですのでご容赦ください。

決勝


【マヂカルラブリー】

今1番売れて欲しい芸人、僕にとってはそれがマヂカルラブリーでした。
ネタも好きだったのはもちろん、彼らの自分自身の芯を貫くスタイルが大好きでした。

「勇者ああああ」や「しくじり学園お笑い研究部」などバラエティ番組での立ち振舞いも面白く、野田クリスタルさんのR-1ぐらんぷり優勝を期に大活躍を期待したものの、直後のコロナウイルスの感染拡大に伴い、出鼻を秒で折られ砕かれてしまいました。

そのため本大会前は、これをきっかけにマヂラブが売れて欲しい、と言う念が特に強かったです。
ネタのスタイル的に優勝は難しいかもれないけれども、エグめの爪痕を刻みつけて帰ってきて欲しいと願っておりました。

決勝の一本目、膝をついて競り上がってきた段階で純粋に笑いました。
そして野田クリさんの第一声、「どうしも笑わせたい人がいる男です」で、俺の好きなマヂラブがきた!!!と独りで歓喜しました。
大会後に振り替えると、このコロナ時代に「どうしても笑わせたい」一心でM-1に現れた男に素直にカッコいいと感嘆してしまいました。

そして、野田クリさんの発する「高級フレンチに行きたいよー」の発声とともに驚愕を覚えました。
え?…“フレンチ”のネタやってくれるのか…と。

マヂラブのネタで何が好きかと尋ねられれば“フレンチ”と即答していました。実際にそんな質問をされたことはないですが。(ちなみに次点で好きなネタは“オーロラ”)
ただこのネタは2018年の敗者復活戦で見たネタで、今回のM-1ではやらないと思っていました。
なので“フレンチ”のネタをやると分かった瞬間、これはマヂラブの二人における集大成なのだ感じました。

“フレンチ”のネタの素晴らしさの一つに、ツッコミの村上さんの能力値の高さが際立っている点をあげることができます。
暴れ回る相方に対して、「違うよー」と「終わりー」だけで捌くスキルには度肝抜かれます。
また、野田クリさんのマイムの旨さもきわだってました。
「大木を切る」や「地面に魔法陣を描いて血を流す」動作の再現度もえげつないです。村上さんの補足的な合いの手も光ります。

2本目の“つり革”のネタについては、多く語る必要もないほど、純粋に笑えました。
野田クリさんが「どうしても決勝でつり革をやりたい」と言うのが、また最高でした。

決勝後、「マヂラブのネタは漫才ではなくコント」だと言う意見が一部で発されました。
素人の私が言うのも烏滸がましいですが、あれは漫才です。
「センターマイクの前で話せば漫才」といった意見も多くあります、それも間違いでないと思います。
しかし、あえて、無風流にネタの構造を分析すると、「漫才コントに入る野田クリさんを村上さんがメタ視点でツッコミを入れている」、また、「ネタの開始と終わり、野田クリさんの漫才コントの間について、設定外の素の二人で会話をしている」、以上二点から漫才と言えるかと思います。
逆に上記の二点は「コント」に該当しないかと。
漫才の定義に厳しいのに、コントの定義にルーズな人が、批判しているんでしょうかね?

マヂラブの二人にはこれからドンドン売れていって欲しいです。
そして何より、お二人の冠ラジオ番組が始まって欲しいです。
2020年の春と秋の2回、マヂラブのオールナイトニッポンゼロが特番として単発放送されました。
これがとにかく面白い。
是非、一刻も早く、レギュラー化していただきたい。
ニッポン放送さん、どうかお願いします!


マヂカルラブリーの野田クリスタルさん、村上飛車角抜きで斉藤さん、改めて優勝おめでとうございます。


【東京ホテイソン】

今回の決勝で、マヂカルラブリーと同じくらい応援していたのが東京ホテイソンでした。

過去3年間、敗者復活戦に出場しており、振り返ってみたところ、過去3回とも私は東京ホテイソンに1票入れていました。
特に昨年(2019年)の英語のネタは、あんな面白い漫才は見たことないと感じたほどです。
普段どんな生活を送っていたら、「ワワワコレコレワコレコレ」なんてツッコミワードが思いつくんだろうか。

もともとたけるさんの備中神楽ツッコミを軸に「い〜や、◯◯の△△」と言ったフォーマットのツッコミで、△△の部分ワードチョイスが面白いという作りでしたが、一部では霜降り明星の粗品さんと酷似していると揶揄され悩まれていたそうです。
が、昨年から従来の「い〜や」を残しつつ、下段でイカれた言葉の羅列になる構造を爆誕させ、面白さが指数倍的に跳ね上がりました。

決勝のネタも最高でした。
ですが、得点振るわず最下位。
ウケてはいたんだけどなぁ…

M-1に何か欠点があるのだとしたら、このホテイソンの低得点にあるような気がします。

東京ホテイソンの、あんなに頭を使わず見れて面白い漫才は、唯一無二です。

ホテイソンの二人も数年前にオールナイトニッポンゼロの単発をやっていて、凄く二人の人柄が大好きになりました。
現在は声優の井口さんと三人で文化放送unozeroというラジオをしていて、それも面白いのですが、いつかホテイソン二人のレギュラーラジオも期待しています。
実は二人とも、面白過ぎる人間性であることが垣間見えていて、それが明らかになっていくことが、楽しみで仕方ないです。

来年も是非決勝に行っていただきたいですし、優勝を掻っ攫っていって欲しいです。



【オズワルド】

漫才の技術に関していえば、オズワルドは今回のファイナリストトップクラスだったと思います。
「“ま”のセキュリティ」や「雑魚寿司」等のパワーワードも炸裂してましたね。

点数こそあまり伸びませんでしたが、オズワルドの出す雰囲気と飄々としている畠中さんとワードで残す伊藤さん、どちらの良さも出ていた素晴らしい漫才でした。
欲を言えば、予選でやってた“登山”のネタを決勝の舞台で見たかった…。

あと、伊藤さんの「もしかして君も入れる側の人間って聴こえたぜ」のような、畠中さんのボケをオウム返しツッコミするくだり最高ですね。

オズワルドはまだまだM-1に出場できるし(現行ルールが変わらなければ)、決勝常連コンビになっていきそうですね。



【錦鯉】

おじさんが馬鹿げた漫才をする、それだけでこんなに面白いんですね。

錦鯉は決勝直前の霜降り明星のオールナイトニッポンにゲスト出演されていた、お二人の人柄が大好きになりました。(残りマヨの話と、家の中で信号を守った話、最高ですよね)

49歳と42歳のおじさんが、シンプルにバカバカしくて面白い漫才をする姿は、5周くらい回っていぶし銀なカッコ良さがありました。

ボケの長谷川さんの面白さもさることながら、ツッコミの渡辺さんがキレッッッキレでしたね。

お互い相方のことを、下の名前で呼んでるのもなんだかほっこりします。

今後色々なバラエティで、錦鯉のお二人を観れるのが楽しみで仕方ないです!


レーズンパンは見た目で損してるけれども、お二人はおじさんの見た目で損どころか、得していって欲しいですね。


敗者復活戦

【キュウ】

今回の敗者復活戦で1番驚いたのキュウの面白さでした。

「めっちゃええやん」以外の漫才を見るのは初めてでしたが、こんなに面白いとは、と驚きました。
「ただひたすらアイウエオ作文をするボケ」と「ただひたすらヨーグルトの話を聞いて欲しいツッコミ」の漫才なんていう豪快な構図、どんな脳みそしてたら思いつくんだよ。

そして何よりキュウ二人は互いの声がいいなと思います。
小さく起伏なく話すボケのぴろさんと、大声で訴えかけるようなツッコミの清水さんのコントラストが最高でした。

豪快なネタで、リベンジしてくれ、来年こそ決勝へ!!


【滝音】

敗者復活戦で1番楽しみにしていたのが滝音でした。

ABCお笑いグランプリ2020で初めて見たベイビーワード漫才に衝撃を受け大好きになりました。
キングオブコントでも決勝に行きましたが、「ベイビーワードは漫才でこそ映える」と信じているため、どうしてもM-1で決勝に行って欲しかったです。

今回の敗者復活戦でま「ハンプとバンプのキモミルフィーユ」「ばばぁのバンプティダンプティ1ダース」など、沢山のベイビーワードを浴びれて最高でした。

来年こそは決勝の舞台でベイビーワード漫才を披露して、僕たちファンを嬉しさでサプライズフィニッシュさせていただきたいです。


【タイムキーパー】

2年目で敗者復活戦?!
と言うのが衝撃的でした。

2年目であんな落ち着いてできるもんなんですか?

漫才の芝居掛かっている感じに、アルピーイズムを感じました。
将来的には、忍者が巻物取りに行くくらい衝撃を起こして欲しいですね!


予選

今回は2回戦や準々決勝の動画が上がっており、そこで見た面白い芸人さんたちの話もさせてください。


【真空ジェシカ】

今回、僕にとっての一番の収穫は真空ジェシカでした。
こんな面白い漫才師がいたとは…
(よくよく考えると“サワムラー”のネタを過去にYouTubeで見て爆笑したことがありました)

飄々とくり出されるボケと、抑揚の大きいツッコミ。
めちゃくちゃ好みの漫才でした。
つかみの「言うとしたら僕ー」で鷲掴みされました。

色々とYouTubeの漫才を漁ってみましたが、このコンビはいつ頭角を表してもおかしくないないと感じました。
特に教習所のネタが好きですね。


【シンクロニシティ】

ボケの吉岡さんについては、晴天サンティ時代から好きでしたが、シンクロニシティになっても毒っ気あるネタ健在で面白いです。

フリーといえば最近はラランドが活躍していますが、シンクロニシティも一緒に2組で大活躍していただきたい。

ちなみにですが、吉岡さんは1994年の神奈川県出身ってところが自分と同じで勝手なシンパシーがエグいです。


【9番街レトロ】

今まで名前も聴いたことないコンビでしたが、すごく面白かったです。

ツッコミの「俺だってお前がオモロイと思うことオモロイと思いたいねん!」は新しすぎるなと。
やっぱりいい漫才には、パンチラインが付き物だな。

来年は早すぎるけど、2〜3年後に大活躍すると思う。

俺も9番街レトロがオモロイと思ってることを、オモロイと思い続けたい。


その他の名シーン

【板の上の魔物】

今回、M-1前にYouTubeで公開されたスペシャルムービーが素晴らしかった。
元々好きだったCreepyNutsとM-1グランプリのコラボに、胸躍りました。

元々R-指定さんが、べしゃり暮らしいのために描いた曲『板の上の魔物』をバックミュージックに、M-1の予選の様子を流す動画なんですが、この完成度が素晴らしすぎる。

元々、漫才師とラッパーを重ねた曲(だと勝手に解釈している)なのですが、「売れない時もそして売れた今も」的なニュアンスで使われていた「客がパンパンでもスカスカでもぶちかますだけ」って歌詞が、コロナ禍で客入れできない予選と重なり胸が熱くなりました。

この動画の個人的名シーン2つあります。
一つは決勝進出者発表後、決勝に進めなかったぺこぱの松陰寺さんが「甘くねぇな、やっぱ」と言ったのに対し、シューペイさんが「いやもちろん」と即答したシーン。
二つ目は、昨年の決勝でM-1史上最高得点を出したミルクボーイの直後にネタをやったオズワルドの伊藤さんが「誰の後になっても何も思わないです。あれより怖いことないですから」とつぶやいたシーン。
どちらもなんだかグッと来てしまいました。

この動画が公開されてから、一人で40回くらい見ていると思います。
噛めば噛むほど味が出る素晴らしいスペシャルムービーです。


【オープニングブイ】

毎年のことではありますが、M-1はオープニングが最高ですよね。
いわゆる「俺たちが1番面白い」です。

今年何より良かったのは、本番前にマスクを外す漫才師たちの姿です。
「漫才師がマスク外すのカッコいい」って気づいた制作の方のジーニアス具合が半端無いですね。

毎年のM-1終わりに、この映像だね見返したくなります。
M-1グランプリの製作サイドの熱量も伺えますよね。







と、まぁ、書きたいことツラツラと書かせていただきました。

あくまで個人的に感想書きたいものだけ書きましたので、ご承知の通り上記以外でもたくさん面白い漫才師がいます。
今年は公式がYouTubeにたくさん動画あげてくださっていますので、M-1の余韻に皆さんも一緒に浸かりましょう。

2021年のM-1も今から楽しみです。
またたくさん漫才師の勇姿を、拝ませてくれるでしょう。

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