【NYY】Juan Sotoをトレードで獲得!
日本時間12月6日深夜より、パドレスのJuan Sotoに係るヤンキースとのトレード交渉が加速。そして、翌朝にはYes NetworkのJack CurryやSNYのAndy Martinoらがパッケージの仔細をツイートし始めます。
この一報が流れた時には、主に日本のMLBコミュニティで「流石にこれは投手が多すぎるので誤報では」との意見が多く挙がりました。私も同意見で、このパッケージは当初パドレス側がヤンキースに要求したプランと相違ないもの。これが真実だとしたら、Cashmanは何一つとして譲歩を引き出せなかったことを意味します。
しかし、その後もパッケージはほぼ確定。身体検査を待つのみとなり、正午ごろには取引が完全に終了。Juan SotoやMichael Kingら7名が絡む超大型トレードが成立しました。
今回のnoteでは、Juan Sotoのトレードをメインに、今後のNYYの雑多な見通し、対価となったプロスペクトについてまとめていきます。お休みにも関わらず昨日記事をup出来なかったのはThorpe流失で絶望のあまり卒倒してたとかじゃないので安心してください。
■トレード内容
①誇り高き「伝統」を守り抜いたSotoの獲得
今回のトレードでNYYが得た物の大きさというのは計り知れません。ディケイドにおいて三本指に入る左打者・Juan Sotoを獲得したのですから。もはや説明不要ではありますが、2018年に19歳にして飛び級MLBデビューを果たすといきなり22HR 146wRC+の歴史的なパフォーマンスを披露。(このオフにはAcunaと共に日米野球で来日したのですが、第1戦でSotoのHRを生で見られたことは今でも忘れられません。)
翌2019年には初のフルシーズンで34HRを放ち、ワイルドカードからWS優勝を果たすなど、順風満帆なキャリアを過ごします。この時のワイルドカードといえばナショナルズが劇的な逆転勝利を収めるのですが、その原因となった男も後で触れます。
2020年には短縮シーズンというアスタリスクは付くものの、21世紀においてはBarry Bonds以来2人目となる200wRC+超えのシーズンを完遂。もはや若手スターという枠組みを超越しており、「歴代最高クラスの早熟スター」を名乗るに十分な実績を抱えつつありました。コンプレッションにはTed Williamsといった偉人の名が浮かぶほどです。
そして2022年には計8人の絡むメガディールによってパドレスへ移籍。この夏のパドレスといえばJosh HaderやBrandon Drury、そしてSotoとJosh BellといったTDLのかなめを総取りし、All-INで望んだ勝負の年。残念ながらもう一人のスーパースターであるFernando Tatis Jr.のPED使用発覚などによってNLCS敗北に終わりました。(それでもDSでのドジャース撃破はあまりにも劇的でしたよね。)
奇しくも2023年、盤石と思われたパドレスとヤンキースが低調なシーズンを過ごすと、今オフには調停で30MM程度が見込まれるSotoのサラリーダンプ案が浮上。ウィンターミーティング直前にはヤンキースとの交渉が加速し、昨日のDealに至ります。
率直な意見としては「良くも悪くも、これがヤンキース」というもの。有望株の今後よりもスターの1年に懸けるこの姿勢はヤンキースにしかできない、いやヤンキースに求められていた大義であったとすら思います。現地MLBファンの様子を見ても、今回の動きが与えたダイナミクスは絶大。メッツのような大富豪オーナー擁するチームですらコンテンドが失敗に終わるとファーム整備に切り替える中、ブロンクスでは久しく行われなかった大型トレードを強行したわけです。全く合理的・論理的ではなく、ヤンキースをヤンキースたらしめたという点でしか評価はできません。
これものちほど触れますが「ヤンキースは対価を出しすぎた」「オーバーペイだ」という意見はもっともです。ですが、あのJuan SotoとAaron Judgeが連なる打線を想像してワクワクしない野球ファンがいるでしょうか。RuthとGehrig、MantleとMaris、JeterとA-RODといった弩級のデュオに匹敵するものですよ?これはヤンキースの損得勘定を越えた、世界中の野球ファンの関心をさらったビッグムーブとして歴史に刻まれると信じています。(数年前に52HRと59HRのDuoが爆誕していたような気がしますが、これについても知らないふりをします。)
もちろん、Sotoはロマンだけで語れる選手ではありません。NYYが近年苦心し続けたJudgeの補佐役として、あまりにも強大なパワーバットを手にしたわけですから。怪我がなければ再び60HRシーズンを標榜できたAaron Judgeにとって、Sotoの存在は鬼に金棒。少なくとも今季のような火力不足は起こらないと感じていますし、Judgeが60HR強の成績を残す姿は容易に想像できます。
また、このDealではSotoに加えて中堅手Trent Grishamを獲得。ゴールドグラブに複数回輝くほどの実績を有しており、Baderの後を継ぐには申し分ない名手。もちろんここ数年の打撃力は課題ですが、依然BB%はリーグ有数であり、この点はKevin Kiermaierの獲得を検討していたNYYにとってはあくまで想定どおりの配役でしょうか。選手の能力云々の前に、私個人はブリュワーズがもともと好きなこともあってGrisham獲得には喜びを隠せません。先述の2019年ワイルドカードでの後逸は語り草ですし、Luis Uríasとの電撃トレードは驚きでひっくり返りました。守備能力の高い中堅手確保が難しい時代において、再来年も保有できる彼をパッケージに含めることができたのは良かったと思います。パドレスからすれば来季5MM程度のGrishamを出すメリットは薄かったので。
②大盤振る舞いの豪華アセット
ヤンキースの得た物に触れたのですから、失った物にも触れる必要があります。来季先発起用が濃厚であったMichael King、MiLB最優秀投手に輝いたDrew Thorpe、スイングマン起用をこなせるルーキーのJhony BritoとRandy Vasquez、優れた捕手能力とキャプテンシーでヤンキースを支えたKyle Higashioka、という計5名のヤンキース選手が移籍。
まずそれぞれを語る前に、Cashmanが1mmの譲歩も引き出せなかった点にひどく絶望しています。このパッケージは当初パドレスが要求したものとほぼ同一であり、なんならHigashiokaが追加されています。もちろんGrishamを引き出したことは譲歩と言えますが、パドレスとしては狙った選手を総取りできた点で大勝利といえます。そもそも、ヤンキースにとっては焦る必要はそこまでなく、追い込まれているのはSotoのダンプなしに補強へ進めないパドレスなはずでした。それが終わってみればNYYの投手運営が破綻しかねないほどの大盤振る舞いであり、Prellerの狡猾さ・Cashmanの浅慮なプランニングが浮き彫りとなりました。
Kingは昨季中継ぎへの本格転向によって覚醒。回跨ぎやハイレバレッジを苦にしない起用で前半戦の快進撃を支えました。残念ながら故障離脱もあり、迎えた今季は昨年ほどの支配力はなかったものの堅実なブルペンアームとして貢献。シーズン後半には相次ぐローテーション投手の誤算によって先発投手へ再転向を果たすと8先発 ERA1.88のハイパフォーマンスを見せ、一挙に来季のローテ投手として計算できるようになりました。
先発が無理そうでも8.9回を任せられるセットアッパーとして、彼の流失は相当な痛手であり、パドレスとしては腐りようのないアセットを1枚確保できました。シンカー&スイーパーはどちらもプラスピッチな点に加え、昨夏には100mphにヒットしたハイヒーターで左打者にもゴリ押す投球は圧巻。この点をよく理解しているHigashiokaも同伴するわけですから、もう言うことはありませんね。彼のお姉さんはOlivia Kingさんという歌手なのですが、是非彼女のことも応援してあげてください。
そして昨年のドラフトの際に正直Spencer Jonesよりもピックに歓喜したDrew Thorpeの移籍は、心臓がえぐられる思いです。もちろんSotoの獲得にはトッププロスペクトを差し出す必要はあったと思いますが、今年マイナーでデビューして2Aを無傷に過ごした投手ですからね。奪三振やK/BBはMiLB全体でも第1位の数字ですし、ドラフト2位指名の選手をここ何十年も失敗し続けてきたヤンキースにとって、最高クラスのプロスペクトだったわけです。
193cmの体格からもフォーシームの球速にはアップサイドの余地はあるでしょうし、スイーパーとダブルプラスのチェンジアップはMLBでも悠に通用するもの。加えてコマンドが最たる武器であったことからも、彼のフロアがどれほどの位置かが分かるはずです。移籍後にメカニクスを見失うくらいしか、彼が大コケする未来が見えないんですよね。
Randy Vasquezはコマンドにやや課題があるものの、まだ先発起用されるに十分な総合力を持っている投手。2021年にLow-AからHigh-Aで一挙に名を挙げると、TDLではJoey GalloとJohn Kingの獲得パッケージに含まれてTEX移籍に片足を突っ込むことになりましたが、KingがJoely Rodriguezに差し替えとなったことでEverson Pereiraと共に逆転残留。2022年オフにはロスター入りも果たし、今季MLBデビューに至っています。
かつては90mph後半の速球に、3000rpmのカーブを主軸としたDeivi Garcia 2.0みたいな印象でしたが、昨年あたりはここにスイーパーやカッターを組み込み、まだ完成形を探している最中かなと。球種の取捨選択を行い、コマンドを克服できればパドレスにとっては嬉しい存在になれるかもしれません。中継ぎ起用でも試す価値はありますし、なんだったらオプションも2つ残っているのでどうにでもなります。
Jhony Britoも昨季のRule5プロテクト記事で散々取り上げましたが、シンカーの球威急上昇によってアッパークラスを制圧したピッチングプロスペクト。今季は開幕からボロボロであったローテ5番手に食い込むと、ルーキーにしては上々のピッチング。また後半戦にはスイングマンとして起用されると12試合で34.2回 ERA2.86 7BB/33Kと本来のコマンド&コントロールも披露しており、ヤンキースとしては彼の定位置を見つけた恰好となっていました。空振りを取るというよりもゴロボーラータイプでありますが、パドレスの内野陣にはビシッとはまるのではないでしょうか。個人的に彼のメカニクスは肘故障も有り得ると思うので要注意。
そしてKyle Higashiokaの存在。2008年にドラフトされてからデビューするまで10年の期間を要したものの、守備面・精神面でチームを支えた縁の下の力持ちです。投手陣からの信頼も厚く、一時期はGary Sanchezの求心力が弱まったことで正捕手に上り詰めました。ちなみにTommy Kahnleすら2010年ドラフトであるため、ぶっちぎりのヤンキース最古参選手。個人的に捕手がロスターに6人存在していたこともあって放出はやむなしでしたが、彼の価値があまりにも低く見積もられたなと思います。贔屓目抜きに、単体でプロスペクト2枚は連れてこれたのではと。先ほども触れたように、パドレスにとっては第二捕手を確保できただけに留まらず、King・Vasquez・Britoの強みを良く分かっている理解者を手にできたと言えます。
③トレード総括
まず前提にしたいのが「このトレードはヤンキースのオーバーペイである」という点。Soto(残り1年)とGrisham(残り2年)の価値をどれほど評価したとしても、ヤンキース側の払った代償が上回ります。
ではオーバーペイであるからといって、負けトレード云々が決まるわけでもありません。このトレードにおいて一番の実力者はSotoであり、KingやBritoらを保有し続けたとして優勝の可能性が大幅に上がったとも思えません。この博打がヒットした時の破壊力たるやすごいものですよ。もちろん、トッププロスペクトであったThorpeを失ったことで中長期的な先発運用に支障が生じる可能性はありますし、パドレス側からすればRobby Snellingとの並ぶ二枚看板を有するわけですから大きな利があるといえます。他方、ヤンキースとすればVasquezとBritoはここ数年で力を付けたミッドプロスペクトであり、彼ら2人を枚数に換算できたのはプラスと捉えることもできます。
少し脱線してまとめてみますが、
と、ここ数年であり得ないほど多数の先発有望株を放出してきたわけですが、実際問題ヤンキースのコンテンドにおいて必要であった選手は誰がいるでしょうか。ハイフロアですでに活躍をしていたSearsはNYYでも代わらず躍動していたでしょうが、WesneskiやWaldichukのようなNYY主観のトッププロスペクトでさえも「開花」には至っていないという認識です。何が言いたいかというと、有望株はあくまでも有望株であって、MLBで活躍できる保証は何一つないという点です。また、これだけのピッチングプロスペクトを放出してもなお、このオフにRichard Fittsや今回の3人を放出している点はNYY傘下がどれだけ短期間に投手養成を実現しているかの証左に他なりません。(→決してMLBクラスの投手養成という意味ではなく、他球団にアセットとして評価を受けるほどの投手養成というニュアンス。なんかそう書くとしょぼく感じるけどええわ。)
いまなお、Chase Hampton・Will Warren・Brock Selvidge・Henry LalaneといったTOP100級の先発有望株を有することはポジティブ。特に近年、WesneskiやWarren、FittsにHamptonといった下位指名からの躍進は著しく、今季ドラフトで加わった投手にも大きな期待が募ります。
冗長になりましたが、「Thorpe・Vasquez・Brito」という有望株の流失は痛いものの、傘下組織を脆弱にしたかといわれるとそうではなく、逆に潤沢なマイナー投手を、今回もフル活用したと言えます。
じゃあ何が問題か。短期的にみて、先発ローテ~ロングリリーバーの人員にポッカリ穴が空いたことでしょうかね。
■トレード後のロスター考察
じゃあここいらでトレード後の26人枠を書き連ねます。おそらく嫌が応でも脆弱な箇所が見えてくるはずですので。
なんですかこれはと聞き返したくなるような下位ローテとブルペンの頭数。オプションが一つも残ってないInjury ProneのGomezを5番手にねじ込みましたが、ほんとにこれが起こりえるほどの枚数不足ですよ。2番手・3番手のRodonとCortesはダウンイヤーを過ごしたこともありあまりにも迫力に欠けます。もちろん彼らが昨年水準の成績を残せればいいですが、あまりにも希望的観測が過ぎます。
中継ぎも大崩れはしないと信じていますが、ここ数年の中ではかなり手薄。なぜか来日助っ人となってしまったJimmy Corderoの退団はあまりにも痛いです。ブルペンに風穴を開け、NYYに恩も述べないままロッテに行ったことは決して許しません。また、Albert Abreuも最後まで制球難が改善されずDFAに。あのくらいのパワーリリーバーはなんぼいても困りませんが、いかんせん彼は若いうちから有望株だったためにオプション管理が常に付きまといましたね。
EffrossとGilはTJ明けであり、どの程度の強度で投げられるかも疑問が尽きないですし、MarinaccioやLoaisigaらが支配力を取り戻してくれない限りは未知数なブルペンになりそう。来オフにはHolmesがFAとなるわけで、来季中にKingに代わるクローザー候補も見つけなければいけませんね。ぶっちゃけ敗戦処理クラスはその辺から拾い上げれば問題ないので気にしていません。今季全休に終わったCarson Colemanがその役割を果たせるとおもった矢先、TEXがRule5で持って行きましたね。本当に汚い言葉を吐きそうになりましたよ。これきっとWhitlock&Stephenパターンになるんでしょうね。ほんまクソ制度すぎる。せめて全休ならイリジブル1年延ばしてくださいよ。
総合的に見て、最低でも先発投手1名の補強はあるでしょう。偶然か必然か、今オフ最高評価の投手・山本由伸とヤンキースのポスティング交渉は本格化。実現しないとされていたSotoと山本の両獲りは起こりえるところまで来た気がします。
ヤンキースとしてはスクランブルで使いたいMitch Spenceが、同様にRule5で獲られたのが痛いところ。彼のイニングイーターっぷりで指名されないほうが無理あるけどね。私としてはSTで調子がよければWill Warrenを開幕ローテにぶち込んで心中してしまえばいいと思っています。
まず上記メンバーで14名となることから、若手のオプションもしくは誰かしらのDFA等が必須。Wellsはプラトーン捕手として候補には挙がりませんし、Perazaはオプション切れ。PereiraとCabreraのいずれかがマイナーでスタートという形になるでしょうか。個人的にはここまでALL-IN体制を取っている以上、「覚悟のStanton DFA」も起こりえると思っています。あと、Florialはせっかくチャンスを得たのにこれでまたDFAですかね。やはりDFA三羽烏の宿命か。
おもしろいことに、数年前までは右の強打者が大半を占めたラインナップも、今や左打者が6名在籍するまでに柔軟化。ヤンキースはそこまで左右病ではありませんが、Verdugo獲得しかり、三振数を減らす試みとして左打者を増やしているのかも。
ラインナップは以下の形でどうでしょうか。
大幅なアプローチ変更を行ったTorresを1番に置き、Judge-Sotoの並びで得点を目論む形になりますが、それ以降は適当です。VolpeやGrishamらが100wRC+くらいのことをやってくれると1番起用できるんですけどね。これはシーズンを追っていくしかないっすね。
やたらとJudgeのセンター起用みたいなモックが流れてきますが笑止千万。これだけ外野手が溢れている中でJudgeに守備負担を強いるのは自滅ですよ。Grishamをスタメンに置き、Pereiraをプラトーン起用するほうがよっぽど戦力が安定しそうです。
しかし、ここ数年でラインナップの陣容が変わりすぎて悲しさがあります。だってCashmanの見通しが総じて外れたってことでしょ?そんでまたそいつの考えたラインナップを組むと。はあ。でも何度も言うように、JudgeとSotoが並ぶのは野球ファンなら見たいでしょ。
■トレード後のペイロール
Spotracのプロジェクションを参考にしていきます。
Verdugo(来季9.2MM予想)+Soto(来季27MM予想)+Grisham(来季5MM予想)の加入によって約41.2MM程度の負担増。King(来季3.1MM予想)以外は最低年俸であることを差し引くと、実負担およびAAV換算でも40MM弱のペイロール負担増。
贅沢税計算も出来るようにAAV換算メインでも見ていきます。
【Judge(40MM)+Cole(36MM)+Rodon(27MM)+Stanton(22MM)+Rizzo(20MM)+LeMahieu(15MM)+Kahnle(5.75MM)=165.57MMに加えてAaron Hicks(9.26MM)】などもあって、8選手+Hicksですでに175MMに到達。ここに福利厚生総額、マイナーリーグ給与総額(約20MM)、Sotoらを含めた調停予想総額(74.4MM)、最低年俸総額(7.7MM)である約100MMを追加。
素人計算でも175MM+約100MM=約275MMというメガトン級のペイロールに突入していることが分かります。雑に計算したのもあって、おそらく第3の課税ラインである277MMは微妙に上回っていますかね。(実際、Spotrac上だと278MMという絶妙な数字に)
例えばこのまま278MMのままでシーズンを行うと贅沢税は以下のようになるでしょうか。
AAV換算の総年俸とあわせると約300MM程度であり、ヤンキースの予算的にもほぼ限界といったところでしょうか。では仮にここで山本由伸を加えるとどうなるのでしょうか。
山本のAAV年俸次第ではあるものの、噂されている30MMは流石に過剰すぎるので年平均27MMとして仮定。
NYYのAAV年俸が278MM+27MM(山本)=305MMに到達。これで贅沢税を再計算すると以下のようになります。
これでAAV総額305MM+贅沢税総額31.8MM=336.8MM程度という第1の課税ラインを100MM超過する良く分からない次元に突入。山本を27MMで獲得したとしても、チームとしての負担は35.5MM程度にレバレッジが懸かる計算です。
しかもポスティングなためにオリックスへの譲渡金も発生。仮に27MM×6年という控えめな契約となったとしても、山本の年俸総額が162MMになり【(25MM*20%)+(25MM*17.5%)+(112MM*15%)=26.18MM】程度の金額も追加で発生。コスパが良いはずの山本でしたが、気付けば昨年のRodon以上の契約が必要になっているのではないでしょうか。Rodonと異なるのはまだ25歳という若さ、そしてMLBのマウンドに一度も立っていないという点。
そもそもHal Steinbrennerは会見でも「300MMは必要無い」みたいなことを言っていましたし、これまでも贅沢税を嫌う性分であったことは周知の事実。先述の長期契約組8人+Hicks(175MM)に山本(27MM)が加わることで年200MMは固定されることとなり、Rizzoの契約が終わるとはいえ、今後の贅沢税課税率リセットは容易とは到底思えません。
個人的に、現在のローテーション枯渇問題を短期的に解決するのは山本由伸の獲得だと思っていますが、長期的に見れば深刻な贅沢税地獄に陥るのではと危惧しています。
■最後に
いつものようにグチグチとプロスペクトの損失について書くのも女々しいので、建設的になるようにまとめましたが、感情論ばかりで結局いつもどおりのテイストになりましたね。Soto獲得に至っては「ロマン!」「ヤンキースらしさ!」で無理押ししてますけどロジックのかけらもありません。
予告しておきますが、来年4月にヤンキースが転落したらば、私はレイカーズのプレーオフとTampa Tarponsの観戦に勤しみます。来年になったら起こしてください。
気付いたら12月に入ってこれで4本目のnoteになっていました。次は山本由伸獲得のnoteになるんですかね。