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ヘアドネーションへの長き道のり

ヘアドネーションとは?
その通り、髪の毛を寄付することです。
抗がん剤治療で抜けてしまった髪の毛のために、かつらを作る材料として人毛が使われます。
寄付するがわは、首もとで髪の毛を結んでカットします。そこから必要な長さは多めにみて31cm以上必要です。

アクセサリー作家のルコです。
最近、作家のことよりも、他のことに時間を費やしていますが。あせらず心穏やかにしてまた制作に励みますね。そうでないと良いものが生まれないから。
今回は髪の毛について。
気持ちをすっきりしたいので書きます。

ロング25㎝

人生初のロング25㎝になったとき、私は茶色の暗めのカラーに、インナーカラーをしていました。
それは約2年前。
仕事柄、きちんと見えるように、白髪もあったので、それを隠すためも。
ただ、伸ばすのは大変でケアにケアを重ねながら大事に髪の毛をいたわりながら伸ばしました。子どもが小さい時は髪の毛にかまっていられないから、ボブとショートのいったりきたりだったし、濡れた髪を乾かさずに寝ることもしょっ中だったから、やっと自分の髪を伸ばせると思って嬉しくて、ここまで来たという感じでした。

なんと友達が

私の身近なお友達がふたりもがんになってしまったのです。まだ若くて美しい彼女たちが、抗ガン剤治療で髪の毛はなくなり、それでも以前と変わらず、笑顔で接してくれている。そんな彼女たちから私はどれだけパワーをいただいているだろう。伸びてきている髪、役に立ちたいという思いがあり、髪くらいさしだして受け取ってほしい気持ち。もちろん、直接、彼女たちに私の髪がわたるような仕組みではないけど、だれか必要な人に届けば嬉しい。私ができることはそれくらいです。
「私の髪の色のヘアドネーションって、需要あると思う?」
と、お友達に聞いたら
「いいね!絶対あるよ!頑張って!」
という返事でしたから。

毛量を増やすために

私の髪質は太くてかたく、量も多め、しっかりとした真っ黒です。そのためヘアカットはかなりレイヤーをいれて毛量をコントロールしていました。だけど、その髪型だと結んだ時の毛束が少ないのでもう少し長く伸ばさないとドネーション出来ませんよ。とお世話になっていた美容師さんに言われました。レイヤーが入っているのであと2年はかかる、と。
まだ2年かかるのね…まあ、せっかく伸ばしたロングを楽しもうと思って気長に伸ばすことにしました。ヘアアイロンを使ってカールしたり、ストレートにしたりして楽しんでいました。

ロングヘアの苦悩

 私は知らなかったのですが、レイヤーをいれるというのは、髪がとても傷むのです。髪の毛の長さが不ぞろいな分、髪の毛の毛先がお互いに触れて、その摩擦でキューティクルを傷つけるから。そして、表面の髪は紫外線の影響もある。ロングをキープするということはもちろん、さらに伸ばすということは、痛んだ髪とうまくおつきあいしていかなければならないのです。特別なトリートメントやシャンプー、オイルにこだわったり、きちんと毎日ドライヤーで乾かし濡れたままは厳禁など、それは意外と、自分との努力と忍耐がいるのです。

推しに会う

ここで、変化が訪れます。
私はあることがきっかけで数年前から推し活を始めたのですが、その推しの舞台を初めて見に行くことになったのです。その時は洋服やメイクはこだわったものの、髪の色まで気にしていませんでした。とは言っても、サラストロング、レイヤー入り、普通に暗めのカラーを入れてと、どこにでもいる感じで別に悪くないです。後ろ姿は年齢不詳な綺麗なお姉さんです(笑)。ただ、私の推しと、尊敬する師匠が金髪だったことがずっと記憶に残っていて、金髪へのあこがれが本格的になりました。次に舞台を見に行くときは絶対金髪が良い!!

金髪にしてみたい!

なぜそう思うのか。人生初の金髪です。
このロングヘアをこのタイミングで金髪にするなんて、どう考えても、舞台を見に行って目立ち、推しからファンサをもらいたいという下心ではないか…。動機なんて、そんなもの。われながら人間ぽいなあと感心してしまう。
それに、今やカラーを気軽に楽しめるようになりました。私は残りの人生は、やりたいことをやっていこうと決めたので、誰に何と言われても、どうしてもやりたかったのです。

金髪にするか、ヘアドネーションにするか

早速、お世話になっている美容師さんに金髪にしたいと告げました。実はそれもとても勇気がいりました。
なんで?アナタ、そんな若くもないのに?
という目で見られるのかと思うと心が折れそうでしたが、伝えなきゃ!と思って聞いてみたら、想像とはちがって案外、事務的に理屈を述べてくれました。
「金髪にするということは、ブリーチするということなので、一気に髪の毛が痛みます。溶けてなくなるということ。ヘアドネーションできなくなりますよ。良いですか?」
良くないです。私は金髪にしたいし、ヘアドネーションもしたいのです。でも、それは無理であると言われました。

あなたはどちらにしたいのか

金髪にしたいと周囲に話した時、反対されました。家族からはお母さんなのにとか、仕事で大丈夫なの?とか。それよりも、ヘアドネーションが出来なくなるとは、なぜ?なぜ、今からわかる?ケアに気をつけて、もう少しがんばれば金髪のままのばせるのではないか?私が腑に落ちない状態でも美容師さんは達観していて、
「金髪にしたいのならそうしましょう。痛むのでお勧めしませんが。ただし、ヘアドネーションはこの先、無理だと思いますが。」

憧れの金髪

2022年9月に初めてブリーチにしたあと、カラーして、その1ヵ月後の10月に同じことの2度めをしました。2度しないと、私のようなまっくろな髪の毛は綺麗に色が抜けないのだそうです。そして、すぐに綺麗な金髪にはならないので、アッシュ系の明るめを入れていました。そのころには私の髪の色は、仕事に支障がなかったので大丈夫でした。実際に髪の色とは入れたその日からどんどん抜けてしまうので、色を入れた日がいちばん発色が強く、徐々になじんできて1週後くらいが綺麗に見えます。


2022年9月、初ブリーチ+カラー


2022年10月、2回目ブリーチ+カラー


2023年1月、カラー

2回目のブリーチのあとは、カラーを継続しています。3枚とも施術直後なので、しっかりめな色付きですが、時間がたつと色が抜けてきて、、本来のブリーチ毛の色にアッシュカラー、白髪、根元は黒い毛もでてきてなんと4色(黒、茶、白、金)の髪色になります。白髪染めではないので、白髪は存在しますが、ほかが明るいので気になりません。ですが、1ヵ月が限界、それ以上放置しているとなかなかの見苦しさになるので、毎月美容院にいき、カラーをいれて維持しています。

約1年たってみると

現在、1年たって12㎝伸びているはずなのですが、おかしい。長さが出ていません。一番長いものは腰まで届きますが、毛量が増えていません。想像以上に切れ毛や枝毛、抜け毛が絶えません。1年前に美容師さんに言われたとおり、私の髪の毛はブリーチで傷んでしまったのです。枝毛や切れ毛が気になります。一度ブリーチ毛にしてしまったら、髪の毛はダメージを受けてしまい、伸ばすのは難しい、無理だということが身をもって分かりました。それでもブリーチしてよかったことは、全体的な髪の色が美しくなったことです。透明感がでて柔らかくなる。まるで外国人の髪質よう。それと同時に痛みもすごいことになっていました。

傷んでいるところ、どうしますか

もうすでに先端にまとまりがないことを感じました。ついに先月11月、美容院に行ったとき、このまま伸ばしていてもさらにヘアドネーションするまでに2年かかると言われ、昨年、あと2年と言われたのに、今年ももうあと2年だなんて。毛量が足りない。確かに、毛束は少ない。痛んでいる髪はどんどん消えていっている。ヘアドネーションできるほどの毛束にしたいのに、先がみえなくなってしまった。それもあるけど、普段の生活に、この毛先がバラバラで長短混合しているバランスの悪い私の髪型にもう耐えられなくなってしまった。1年間切らずにがまんしていたけどもはやここまででした。

カットお願いします

思い切って美容師さんに
「今日、揃えられるところまで、カットお願いできますか?」
本当はカラーとトリートメントメニューの予定だったが、たまたま最後の客で、私もそのあと予定がなかったので急遽カットを申しでしたら、本当にタイミングがよかった。
「良いんですね?」
そういわれると揺らぐ…
当たり前ですよ、目的があって今まで伸ばしていたのですから。
「痛んでいるものは、無理です。仕方ないから。」と私。
「僕はずっと切りたいと思っていましたよ」
やっぱり、そう思っていたんですね。プロのいうことは正しかったのです。

一区切り

髪の毛は1ヵ月に1㎝伸びるので、私の髪は地肌より12㎝、金髪に近づくように一番明るい色を入れています。うまくカラーをいれていかないと、ブリーチ毛とそうでないところの境目がはっきりと現われてしまい、見た目が悪くなるそうですが、私の美容師さんは腕がよいので大丈夫です。しかも、明るい色でこのままカラーリングを続けてブリーチ毛がおわりになれば、金髪に近い色でヘアドネーションも出来る。
私は諦めていないです。
まだ挑戦が続いているのです。

ルコ


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