あのたび -畳部屋の宿-
メーホンソンからトラックバスを乗り継ぎメーソットへ(80B+160B)。軽トラに幌がついていて硬い椅子に座る形式だが乗っていた隣のタイ人が車酔いでゲロる。それが置いていたボクのリュックにかかり悲惨な状況に。こんなことはよくあるので、持ち物はいつ捨ててもいいし買い換えられる安物でいい。
メーソットのKAMEゲストハウスは親日のお姉さんとその母親が経営していて、スタッフというよりは友達のような感覚でおしゃべりしてくれる。日本人の旅行者が来ることを期待して(?)いるからか、宿の大部屋はなんと畳敷きであった。ドミトリーは二十畳くらいのだだっぴろい部屋に雑魚寝というスタイル(1泊60B)。広く長いアジア旅行で、畳はさすがにこの宿だけだった。
ただ難点は屋上に当たる陽射しがそのまま2階の畳部屋に伝わり、信じられないくらい熱くなりとても部屋では休んでいられないということだった。特に昼は。
メーソットは、タイの他の町に比べて圧倒的に見るものがない! ので誰も訪れない。あえて言うと、少し汚い川を渡った向こうにあるミャンマーを眺めることができるくらいだ。国境マーケットは土産物屋が少し並んでいる。
帰りに見てはいけないものを見た(ような気がする)。
ほったて小屋がポツンとあり何の建物かなと覗くと狭い部屋にたくさんの人が座ってじっとしている。窓には鉄格子のようなものがついている。まるで牢屋のようだ。事実はどうかわからないが、おそらくミャンマー側からタイ側へ密入国しようとした人たちが捕まえられて一時的に軟禁している場所などだと思う。
ミャンマーはは政情が安定せず、北部ではいまだに民族同士の争いがあるという。外国人も陸路からでは入国できない状態である。
紛争を逃れてタイへ行きたいという人たちがいてもおかしくない。
おおよそタイを一人で旅している者はケチケチスタイルで財布の紐は固い。KAMEゲストハウスであったヒロさんはそんなことなく気軽におごってくれるきっぷのよい32歳だった。世界をいろいろまわった末に、なぜかこの何もないメーソットに1ヶ月も滞在しているという。宿のお姉さんとも友達以上の仲のようだ。
お昼はだらだらして夜はビールを飲む。そんなのんびりした生活は羨ましい。牡蠣入りの美味いお好み焼きを教えてもらった。
この宿にヒロさん以外の客が来るのは久しぶりで、ヒロさんとボクしか宿泊していない。2003年当時からそんな環境なので現在はもう営業していないだろうな。
夜になっても畳部屋は暑すぎた。眠れないくらいに。なのですぐに次の目的地アユタヤへ向けて出発する。
(つづく)