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あのたび -ラマダンとタラカン-

 6月の終わりにスマトラ島からインドネシアに入国してまる4ヶ月になった。その間、バスと船だけの陸路海路だけでおよそ6000キロメートル移動してきた。国の広さで言えばアメリカと変わらないインドネシア。正直移動は苦痛だった。

 バリ島以外はどこへいっても町はゴミが散乱してオヤジは皆タバコを吸っている。国民性なのだろうから仕方ない。モレンやピサンゴレンという揚げバナナは安くてうまいが流石に長く滞在してきて飽きていた。

 今いるカリマンタン島南東のバリクパパンから北へ向かおう。カリマンタン島は南半分がインドネシアで北半分はマレーシアである。両替屋で1RM=2303Rpというレートで50RM分を交換してもらう。約1500円ほど。

 バリクパパンは大都会で市場も活気がある。ナシイカンサユールはスープカレー風味がしてうまい。4000Rp(≒60円)。ご飯3杯いただく。インドネシアではお店によってご飯おかわり無料なところがあり20代の若者にはうれしい。モレン5個1500Rp。パイナップル2個4000Rp。
 日本のパイナップルは固くて繊維が歯に挟まるイメージがあるが、インドネシアでは完全に熟していて桃のように柔らかかった。

 翌朝、翌々朝といつも宿で提供されていたパンケーキがない。コピ(コーヒー)だけもらい持参していたビスケットで済ます。気に入ったモレン屋台は見当たらない。違う所でパン5種7個4000Rpで昼。野菜たっぷり春巻き風がうまい。夜はソーセージやレバー入りナシゴレン6000Rp。

 どうやら昨日からイスラム教のラマダン(断食)がはじまっていたようだ。それで屋台や店がやっていないところが多い。ラマダンの期間は1ヶ月ほど。そんなに長く食べられなくて大丈夫か?とは思ったが、水や食料を口にしてはいけないのは日中(日の出から日の入りまで)だけで、夜は食べたり飲んだりしてよいらしい。

 イスラム教でない外国人は特にラマダンと関係なく食事をしてもよい。が昼に開いている店は少ない。この期間の良いところは、タバコも吸えないので煙たくない所だ。インドネシア男性の90%はタバコを吸っていて、特に閉め切った乗り物の中とかがきつい。ラマダンのおかげで人は多いけど町にはゴミがないという利点もある(食べないのでゴミが出ないので捨てないから)。バンザイ!

 いよいよ先日買っておいたチケットで船に乗る。バリクパパンを出て午後1時にティダール(TIDAR)着。乗客も少しインドネシアよりマレーシア系ぽい人が多い。大勢の赤服を着た人たちは何者だろうか。チケットは一番下の3等なので個室も席もない。マットレス屋が1万Rpで借りないかと言ってくる。ふざけるな。食事は一応ナシ+煮豆+ゆで卵が出た。

 デッキのベンチ近くで寝ているとなにやらお腹がもぞもぞする。なんとインドネシア人がボクのパスポートケースをまさぐっているのだ!気づいて起きて問い詰めると言い訳して逃げられた。こんな直接的に狙われたのは初めてだった。安全は金で買えということか。

 ティダールを経由して24時間以上かけて翌日の13時半頃、タラカン(TARAKAN)着。マレーシア国境近くの港町である。

 マレーシア側の町タワウ(TAWAU)行はあるか?と聞くとないという。他のオフィスで聞くと、今日の分の船はなく明日またあるという。大きな港の方から出るとのこと。なのでここタラカンで一泊する。安宿25000Rp。

 散歩すると市場や水上家屋、ナイトマーケットどれも活気がありお気に入り。国境近くの町というのはどこも異国情緒が入り混じっていて面白い。

 プリン風ムース2個1000Rp。チョコ味うまい。餃子風春巻き2個1000Rp。ナシゴレン5000Rp。モレン8個2000Rp。タラカンはインドネシアで一番好きな町になったかもしれない。

 実はラマダン期間というのは甘味を売る店が増えるのだというのも聞いたことがある。昼に食事をできないためその分カロリー高いものを夜にたべて体に溜め込んでおく必要があるからだとか。

 マレーシアは日本のパスポートがあればビザは必要なく入国できるはずだ。明日ようやくインドネシアを出国できそうだ。

インドネシアルート

(つづく)


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