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愁活記

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愁色活動、略して愁活の記録。
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愁活記(後編)

愁活記(後編)

第4部
夢を描いては閉ざされ、描いては閉ざされを繰り返した先に袋小路を見た自分はいよいよ暗澹たる気分になり、マンションの11階にある自室を「死まで徒歩5秒の立地」などと形容するようになっていた。さながら賽の河原で石積みの刑に励む子供のようであった。けれども6月の後半、自分はちょっとしたことを契機に絶望の淵から脱出することとなった。

一つのきっかけは久しぶりに会った友人との会話であった。簡単に言え

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愁活記(前編)

愁活記(前編)

この記事は、就職活動に関するやる気のまるでなかった者がその模様について省みたものです。なんの「生産性」も意義もございません。

第1部

就職活動ほど、当時の自分にとって忌まわしいものはなかった。ようやく学部生として脂が乗りつつあった2年次の終わりごろから、就活の足音は聞こえてきたように思う。勉学という明確な目的を持って大学に入ってきた者にとって、それは耳障りな存在にほかならなかった。誰だって、売

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