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ご挨拶

 初めまして。明治学院大学文芸部主将の遊鶴と申します。
 始めに、当ページをご覧いただきありがとうございます。当ページは2020年度のBROOMについての説明を含めたご挨拶の場となります。

 2020年は、人類史上類を見ないウィルス禍とともに幕を開けました。外出を慎み、人と距離を置き、先の見えない日々に恐怖してきました。なにより、生命や生活を失った方がいます。今もなお多くの方々が苦しみ、戦い、耐え忍んでいます。そのような方々に比べれば至極些細であることは重々承知しておりますが、我々のような多くの大学生は学生生活を失いました。授業日数が減ったり、文面や遠隔だけでの授業だったりと、学生の本分である勉学においても少なからず影響を被りました。そしてサークルにおいてはより大きな影響を被りました。
 とはいえ、勉学が本分である大学生にとって、サークルがキャンパスライフの大部分を占めるとは、個人的には思いません。サークルのために三密を無視したり、マスクを外す理由にはなりません。それはいかなる大学サークルにおいても同じであり、スポーツ系文科系を問わず徹底せねばならぬことと考えます。しかし、大学サークルというきっかけによって文学を愛するようになった一人の物書きとしては、自らの属する表現の場を失うことは断じて看過することはできません。故に私は大学合同誌『BROOM』を、対面のない形で実現させようと考え、今回の『BROOM』を「合同執筆イベント」として開催することを決定しました。

 もちろん、このイベントによって大学生の執筆状況が全て改善するとは到底思いません。我々は一つの機会を設けたに過ぎません。BROOMは一枚の紙片を仲間の物書きに提供しただけなのです。機会は、個々に配るまでもなく、対面のない状態で、パソコン上や裏紙、小説投稿サイトなど、予てより存在していたのです。それにもかかわらず、私はこのイベントを企画しました。我々はここに集い、配られた機会という紙に何かしらを書き、そしてこれからその作品たちをこのサイトに投げるのです。
 本イベントは、過去三年間続いてきた『BROOM』を次の代に継ぐために企画したわけではなく、ひとえに私が抱いた勝手な願いと身勝手な願いに基づき企画しました。意味はありません。ただ、「何か面白いことをしたいな~」という勝手な願いと、「今」をぶち破るための糧となればという身勝手な願いがあるのみです。

 家の扉、アルバイト
 学生生活、学び、サークル、
 将来、就職活動、
 趣味、娯楽、
 交友、誰かとのつながり……

 我々はこれらが閉ざされた「今」というものから逃げ、負かし、馴れ合い、そして何よりそれを通り過ぎて行くのです。未曾有の災禍に対して、このイベントが糧にもなるかどうかは分かりませんが、そんなことを願います。これは願いではなく企画の理由ですが、多かれ少なかれ家にいる時間が増え人と人の間が開いたこの時代に、複数人が一つのテーマについて筆を執るというのも一興かもしれません。

 いずれにせよ、こんな時代に、感染リスク0で、こんな繋がり方した大学生の集団が、こんなところにいたということを覚えていただければ、私共は幸いです。

 最後になりましたが、当イベントに素晴らしい作品を寄稿してくださった11の大学文芸サークルの部員、投稿までに尽力してくださったサークル代表者、そして我々の作品をご覧いただいく全ての方に対し、心より感謝申し上げます。

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