見出し画像

ルールが壊すプレミアリーグ

前半は昨日のスパーズVSニューカッスルの判定について、後半は現行ルールの問題点について書いています。)

スパーズVSニューカッスルの判定について

2020/09/27、ロンドンで行われたプレミアリーグ2020-21第3節トッテナムVSニューカッスルは、特にスパーズファンにとっては非常に後味の悪い終わり方になったのではないかと思います。

いまだにモヤモヤを感じる方も多くいると思います。何に対して自分達が怒っているのかはっきりしたさせた方が心が晴れる方もいるかと思ったので、昨日の試合での怒りの源泉と、そこから見えてくるルールの問題点について少し書きます。

なぜこの試合がこんなに受け入れられない終わり方をしたのか?僕は、
「明らかに勝ちにふさわしいゲームだったのに、終了間際の、およそ理解できない判定によって、勝ち点を失ったこと」
が問題だと考えています。
何が怒りを生んだのか、それぞれの要素について見ていきましょう。

①「明らかな勝ち試合だったこと」
負け試合を不利な判定で引き分けるだけならまだマシでしょうが、昨日の試合はスパーズの出来が個人・チームともに良く、過密日程の中で素晴らしいパフォーマンスでした。試合運びも良く、明らかに勝ち点3が与えられるべき内容だったと言えます。実際に、ゴールの期待度合いを示すXGという指標では、スパーズは3.63でニューカッスルは0.98(そのうち0.75はPKによるもの)だったようです。ここからは、スパーズが3〜4点入れて圧勝しているべき内容だったということがわかります。
つまり、ファンが抱くスパーズの勝利への期待がかなり上がっていました。勝ち点3が当然の試合で勝ち点を1しか得られなけれれば、期待が裏切られているので気分が害されます。

②「終了間際」にPKが与えられたこと
終了間際に得点することの歓喜・失点することの絶望は、スパーズファンが一番知っているはずですね。
同じことが前半のうちに起きていれば、点を返す時間も切り替える時間もあるのですが、終了間際にPKで同点にされたらどうしようもないですし、気持ち的にも落ち込んでしまいます。

③「PKにつながった判定が理解できないこと」
一番腹立たしいのはこれだろうと思います。今回の理解できない判定は実はおかしいポイントを3種類含んでいて、そもそも審判団が誤審をしているという点と、VARが正しい判定をしているのかよく分からないという点と、現在のハンドのルールが納得できないという点があります。これは後述します。

④「勝ち点2を失ったこと」
昨日の最後のPKがあったとしても、スパーズが勝利していたならばここまで不快にはならなかったかと思います。①とも関連しますが、これで引き分けに持ち込まれたらいらだつのも無理はないです。

これだけ怒りを生む要素が重なる試合はそうそうないので、スパーズファンの人たちが怒るのは当然のことです。しかもソンフンミンが怪我するなどもあり、最悪の終わりと言って差し支えないでしょう。


何が昨日の怒りを生んだのかを考えたところで、最もヤバかったものはどれなのか、もう少し考えてみましょう。

まあ③の判定の部分でしょうね。他の点は結局③のひどいPKがなければ大した問題にならなかったはずですから。

まずは何が起こったのかを整理しましょう。

アディショナルタイムがもうすぐ終わるという場面です。審判はスパーズのホイビアとジョエリントンの接触の後、スパーズ側のファールを取って、ニューカッスルにフリーキックを与えました。その後、ニューカッスルがフリーキックを蹴りスパーズが跳ね返したのですが、その後笛が吹かれ、VARによるエリア内でのハンドの有無のチェックが入りました。
VARはまずオフサイドがあったかどうかを確認し、オフサイドはなかったと判断しました。そして、ペナルティエリア内でのハンドがあったかどうかを主審が映像で確認し、ダイアーのハンドを取って、ニューカッスルにPKを与えました。

でもこの一連の流れにおかしいことがいくつもありますよね。

そもそもホイビアがファールを与えた場面が全くスパーズ側のファールには見えず、誤審だと思います。
フリーキックのオンサイドの判定もかなり微妙で、誤審ではないとしても納得感はないです。
ペナルティエリア内でダイアーがハンドを取られた場面は、現在のルールに照らし合わせれば明らかなダイアーのハンドでPKなので審判の判断が正しいですが、意図的にも見えずシュートを手でブロックしたわけでもないこの場面のハンドでPKが与えられるのはさすがにやりすぎでしょう。

現行ルールの問題点

ここから僕が感じた問題はこれです。
「本来手段であるべきルールが目的化している」

どういうことか。

誰が作ったルールか知りませんが、PKって何のためですか?VARって何のためですか?っていう認識が甘すぎます。

PKは、4回に3回は得点が入るようなビッグチャンスです。そのPKが何のために与えられるかと言えば、守備側の選手が攻撃側の得点機会を著しく損なうようなプレーをしてしまった場合に、それを償うためです。
決定機を守備側がルール違反をして止めた場合に、罰則としてPKがあります。
じゃあ昨日のダイアーのハンドは決定機阻止してますか???ダイアーがハンドしてなかったら、4回に3回はニューカッスルはゴールを決められたでしょうか???

ペナルティーエリアの外だと決定機だったかどうかでカードの色が変わるのに、エリア内のファールが全てPKというのは個人的には違和感がありますし、これがダイブが問題になる理由だとも思います。

また、VARも、試合結果を左右するような重大な誤審を防ぐために導入したんじゃないですか?それが目的なら、機能不全です。なぜなら、昨日のホイビアのファールを取った誤審は、試合結果を左右するような重大な誤審だったからです。目的を達成できていません。

個人的にはVAR自体は賛成ですが、得点機会に直接つながるプレーしかVARの介入がないっていうのはどうなんですかね。
ビデオを見てるレフェリーが常にいるなら、誤審があれば適宜修正すれば良い。重要な場面だけのチェックに留めたいなら、テニスや野球のようなチャレンジ制という手もあると思うのですが。


昨日の試合の不可解な判定についてまとめると、
ホイビアのファールは明確な誤審で論外です。VARを導入するならば、あの誤審を防ぐためにもVARを使ってください。
VARによるオフサイド判定は、改善が必要です。DFラインの裏での待ち伏せを防ぐルールを10cm単位で判定する必要が本当にあるでしょうか?そもそもオフサイドラインを完璧に引くことができない以上、テクノロジーを使っているのに、厳密さ・公平さを欠いています。本件はこちらが参考になります。
PKの判定は、現行のルールがおかしいでしょう。エリア内で守備側の選手の手に当たったら全てPKは何をどう考えてもやりすぎです。ハンドの判定の仕方を変えるか(意図的なハンドのみ取るなど)、軽度なハンドであれば、直接FKやコーナーキックからのリスタートに変えるなどするべきでしょう。


結局テクノロジーはどう使うかが重要です。「よくわからないけどとりあえずAIを導入しよう」なんて言ってる会社は何をやってもダメです。FAはジャッジにとりあえずテクノロジーを導入した結果、良いバランスを見つけることに失敗しています。

正直彼ら自身がかなり混乱しているように見えます。

FIFAやFAがどんな意思決定手段を取っているか知りませんが、ちゃんと外部の賢い人・ルール設計に優れた人を呼んでVARの案やハンドの案を作ってもらった方がいいと思います。
目標と手段が入れ替わるなんてかなりやっちゃいけないことですし、目標から順々に論理的に考えていったらこれは普通は起こらないですから。


ルールに従うことは大切ですが、本当にこのルールで合っているの?って視点は忘れないようにしたいですね。


いろんな考え方があると思いますが、僕はこんな理不尽の元でプレーしないといけない選手を応援するためにも、しばらくはできるだけスパーズの試合を追っていこうと思います。

駄文にお付き合いいただきありがとうございました。

(僕自身はサッカーのプレイ経験はほとんどないので、間違いや意見などありましたらぜひください)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?