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我が家のEvaluation体験記 #4 by あつこ完結編

さて、長々と書いてきました、我が家のEvaluation体験記ですが、今日でやっと完結できそうです。2015年10月に申し込んだEvaluationは、2016年1月になってやっと終わりが見えてきました。


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Evaluationプロセスの概要をここに記しておきます。

1. Social Worker による息子君の生育歴の聞き取り。
2. Psychologistによる息子君のObservation:『我が家のEvaluation体験記 #3』にも記した通り、息子君がまったく協力しなかったセッション。
3. Physical Therapistによる身体能力のEvaluation:階段を何段か上り下りしたり、ソファから飛び降りてみたり、などをさせられました。
4. Occupational TherapistによるEvaluation:ブロックを積み上げたり、紙に書かれた線をたどってハサミで切ったりしました。Occupational Therapyは、手先の器用さへの対応が話題にのぼることが多いのですが、他にも色々な症状に対応をすることができます。例えば空間における身体感覚(例:周囲にある物や人への適度な距離感覚が測りにくい、人との距離感が近すぎる、距離感覚がわからないので物にぶつかることが多い、等)や、衝動性のコントロールなどもOccupational Therapistが対応してくれます。

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5. Speech Therapist による言語能力の検査:私たちの担当Speech Therapistは素晴らしい方で、本当に真摯に私たちの力になってくれました。息子君のことを熱心にevaluationしてくれるだけではなく、私たち保護者の話も時間をかけて聞いてくれ、その中で、彼女が(息子君に向いているのではないか)と思うプログラム・学校情報なども教えてくれました。DOEの人は得手して、連絡してもな〜かなか返信をくれないどころか、完全無視されることも多いのですが、このSpeech Therapistは私たちが疑問があって電話をすると、すぐに折り返してくれるし、お役立ち情報があるとわざわざ電話してきて教えてくれました。彼女は後々昇進して責任ある地位に着いたのですが、私たちは(そりゃそうだろ〜。仕事できるしね〜。人望あるんじゃないかなぁ。納得なっとく)でした。

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6. 全てのEvaluation結果の詳細が書かれたレポートを受け取る。
7. IEP Meetingが行われる:IEP MeetingではEvaluationのレポートをもとに、CPSE or CSEからサービスの種類と頻度・時間を提示されます。保護者にはそれを受け入れることも、変更を求めることもできますが、変更を求める場合はそれなりの根拠が必要とされます。CPSE or CSEと保護者が合意した場合、IEPという、受けられるサービスの種類と頻度・時間を記したカルテのような書類が作成されます。また、そのサービスを受ける事によって1年後にはどのような成長を目指しているのか、という目標も記されています。

Evaluation中は、全てにハラハラドキドキしていましたが、特にSpeech TherapistのEvaluationが終わってから、IEP Meetingが終わるまでの間は、本当にジェットコースターに乗っているような感情のアップダウンを経験しました。

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まず、Speech Therapist のEvaluationが終わった数日後、私と夫はSpeech Therapistに薦められた「息子君に向いていそうな学校」のオープンハウスに参加しました。このオープンハウスが開催されたのは、ちょうどIEP Meetingが開かれる前日でした。このタイミングで開催している志望校のオープンハウスに参加できるなんて、本当にラッキーだったと思います。実際に薦められた学校を見学してみると、(本当に息子君と相性が良さそうだな)ということがグイグイ伝わってきます。

毎日時間をかけてお外にお散歩に出かけ、その途中にこどもたちが見たこと・聞いたことを、教室に持ち帰って学ぶ、と言います。そして先生方は上から知識や習慣を教え込むのではなく、子供たちが興味を持った事柄を学べるようにお手伝いをする、というような方針だったと思います。

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また、Speech Therapistが薦めてくれた、この学校にある息子君に適切なプログラムはICT Classと言って、担任の先生が2人いるクラスです。いわゆる普通の公立校のクラス=General EducationクラスでもPre-Kでは担任の先生が2人いる学校もありますが、その場合は担任の先生が1人、アシスタントの先生が1人、である場合が多いんですね。担任の先生がリードをして、アシスタントの先生はそれに着いて行く立場です。

ICTクラスの場合は2人とも担任の先生で、一方がGeneral Educationの先生、もう1人はSpecial Educationのライセンスを持った先生です。2人の立場は同等で、collaborativeです。

またICTクラスは、子供たちの40%が何らかのサービスを受けている(IEPを持っている)子供で、60%はGeneral Education、いわゆる普通の子供で構成されると決められています。

この学校のICTクラスは、担任の先生2人に加えて、パラと呼ばれるアシスタントの先生が少なくても2人・多い時で4人ほどいるということでした。最大で児童数が25人ほどになるPre-Kのクラスに大人が4〜6人がいるというのはとても心強いと思いました。

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講堂で行われたオリエンテーションに参加して、私と夫はとても興奮しました。顔を見合わせて、(この学校のICTクラスに入れたいよね!)と確認し合いました。学校内も案内されて歩き回りましたが、とても感じがよく、私たちの熱意は高まるばかりです。

オープンハウスに顔を出していたその学校の校長先生を、ツアー終了後に必死で捕まえて、「あなたの学校は素晴らしいですね!我が家は明日IEP Meetingなんだけど、ぜひ息子君をあなたの学校のICTクラスに入れてほしい!」とお願いし、ICTクラスに空きが有るかどうかを尋ねました。校長先生は「ICT Class自体に空きはあるので、入れてあげられると思う。」とおっしゃいます。そこで私たちは「明日の朝、IEP Meeting中にCPSEの担当者と話して欲しいので、電話をかけても良いでしょうか?」とお願いをし、校長先生は快くそれを承諾してくれました。それが、IEP Meetingの前日でした。翌日はIEP Meeting。私たちはルンルンでした。(表現が古いっ・・・のは見逃して!)

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それが、実はこの後、IEP Meetingの朝早くに予期せぬ横槍が入り、私たちは一度奈落の底へ突き落とされました。でも、この困難もあの手この手を使って克服できたので、ここでは省略します。今日の目標はひとまずこのシリーズを完結することなので〜!😁

IEP Meeting 自体は、出席してくれた、くだんのSpeech Therapistと協力的なCPSEの担当者のおかげで、スムーズに終えることができました。志望校の校長先生に電話をかけ、担当者とも話していただきました。でもその場で出た結論に、私はびっくりしてしまいました。だって、「息子君はまだ3歳だけれども、今すぐPre-Kに入れちゃいましょう。今日は金曜日なので、週明け・月曜日からその学校に通って下さいね。」ということで話がまとまったからです。

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ニューヨークの公立校の学齢は、1月1日~12月31日までで区切られています。学校が始まるのは9月。(私立の場合は学齢の区切り方が違うので、また別の機会に触れたいと思います。)息子君は2012年生まれなので、本来Pre-Kに入れるのは2016年の9月になってからです。我が家のIEP Meetingがあったのは2016年1月末。私はここで志望校入学が決まっても、9月まで待たされるものだとばかり思っていました。

一年ほども早く入学が許可されたのは「息子君にが今必要なのは、社会性を磨くことなので、早く集団生活に慣れさせてしまった方が良いだろう」というのが主な理由でした。当時は2016年、まだ3-K(2017年9月から始まった3歳児用の公立校プログラム)はなかったので、例外的措置でした。

(でも、アメリカでは必ずしも例外=不可能というわけではありません。20年以上住んだ結果学んだのですが、最初にダメそうだと感じても、すぐに諦める必要はありません。まず一度は、ネゴシエートしてみないと損をします。難しいケースであれば、ネゴシエートに使える根拠をしっかり準備しましょう。さらに不可能が可能になる確率が上がります。)

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そして週が明けた月曜日、息子君は新しく入学許可が下りた、Pre-KのICTクラスへ通い始めました。初日も始業式や挨拶など特別なことは何もありません。それなのに、新しい学校(幼稚園)に通い始めたら、あらびっくり、あんなに悩まされた息子の問題行動が、パッタリとなくなりました。

お迎えの時にクラスの先生に「息子君の様子はどうでしたか?」と聞くと、「良かったわよ。じゃあ、また明日ね!」のようなサラッっとした返事しか返ってきません。2日目こそはと思って翌日、教室での様子を根掘り葉掘り聞いても、先生は「お友達と仲良く、とても楽しそうに遊んでいるわよ。」というばかりです。息子はIEPを持っているし、行動を心配しているんだけどと尋ねても「初めて会う前はどうなるかなぁと思ってたけど、本当に何も問題ないわよ。息子君は明るくて楽しい子ね。」と言われるばかり。

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そして、息子君が問題を起こしたと言って、私が学校から呼び出されることもなく、彼は毎日本当に楽しそうに学校へ通い続けました。呼び出されなくても、息子君が学校で先生やセラピストに教わったこと、お友達のこと、クラスペットのことなど、毎日のように話してくれるので、手にとるように様子がわかります。しばらくは、その有り難い変化に、騙されたような気がしていましたが、私もそのうちすっかり慣れてしまいました。結局息子は3歳と4歳の2年間続けて同じPre-Kに通いました(通常は4歳の一年間のみ)。

もちろん、息子君はその後も成長していますし、心配事もところどころで頭をもたげています。でも、息子君と私たちにとって、Evaluationを経て、このPre-KのICTクラスに入れてもらい、色々なセラピーを受けられたのは本当に大きくポジティブなターニングポイントとなりました。

Pre-Kで受けたセラピーの詳細など、すっ飛ばした部分もありますが、ひとまずこれで、長々と続いた我が家のEvaluation体験記を終わりとさせていただきます。もし#1から読んでくださった方がいらしたら、御礼申し上げます。本当にありがとうございます。

もし、あなたが、私のようにお子さんの発達・成長・行動で悩んでおられたら、ぜひニューヨークこどもサポートにお問い合わせください。きっと何かお手伝いできることはあると思うのです。こどもサポートのようなグループセッティングは苦手だ、ということであれば、個別のコンサルテーションもお受けしています。

Eメール: kodomo.nyc@gmail.com 

ホームページ: https://kodomosupport.com/ ホームページはただいま準備中ですが、夏休みが終わる頃には有益な情報を公開する予定です。
Bookmarkしていただければ嬉しいです。

それでは次回まで、お体に気をつけて、楽しい夏休みをお過ごし下さい!

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