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二十歳のイギリス旅行

成人式の着物を作る代わりに、イギリス旅行をプレゼントするからお兄ちゃんと行っておいで!

二十歳の時、母から突然イギリス旅行をプレゼントされ、地球の歩き方でB&Bの安宿を予約し、国鉄の乗り放題チケットでイギリスを南から北まで、兄と二人で40日間旅行しました。往復の飛行機が決まっている以外は全て自由行動、好き勝手な気ままな旅です。移動ばかりにならないように、一箇所に二日以上滞在するよう父から助言され、ゆとりのあるのんびり旅行となりました。

ロンドンでは美術館や博物館を巡り、知り合いの家にも泊めていただき大歓迎され、ちょっと足を延ばしてグリニッジやストンヘッジにも行きました。子どもの頃に何度も泊まったホテルはオーナーがインド人に変わっていたけど、ベーコンエッグとボイルドトマト、薄切りトーストにマーマレードの朝食は、懐かしいお馴染みの味でした。

ロンドンは人も街も変化していて時の流れを感じたけど、ちょっと汽車で郊外へ行けば昔ながらののんびりしたイギリスでした(あれから35年、また随分変わったことでしょう)。家の窓や駅の構内に花がたくさん吊るされて咲いていました。主に子どもの頃に行った町を訪ね歩き、薄れかけた記憶を呼び戻し、もう一度確かなものとして記憶し直す旅でした。すっかり忘れていた町も、見ると懐かしく思い出すものです。

私たちが住んでいた街にも行きました。こちらは結構覚えていました。ここを曲がると小学校!果たしてその通り、昔と同じりんごの木がある小学校の中庭がありました。よく遊んだ天然滑り台、リスがいる広い芝生の公園、大きな吊り橋。この街は昔のまま、大人になった私を「おかえり」って迎えてくれました。

ここでは連日兄の友達が案内してくれました。兄の3つ年上で給食時間いつも彼のテーブルで食べていた兄は、すっかりその上級生と仲良しになったのです。彼が17歳の時だったと思いますが、一度日本に会いに来てくれました。旅費が無いため、船の厨房でジャガイモの皮を剥く仕事をして、日本に来たのです。数日日本に滞在し、またジャガイモを剥きながらイギリスに帰って行きました。短い滞在だったけど、その間京都観光をし、私たちは再会を果たし、我が家に泊まり、日本を満喫してもらいました。その彼が今度は自分の車で私たちを観光やドライブに連れて行ってくれました。

夜のパブにも行きました。そこで彼は恋人を紹介してくれ、後に結婚しました。彼の恋人は男性でした。30年以上前、同性カップルはまだ少なく、ちょっとだけ驚きましたが、幸せそうな二人を見たら全肯定で祝福したい気持ちになりました。小学生の頃から彼は本当に細やかで優しく親切でした。でもどこか寂しい微笑みで、おとなしいからかなと思ったりしていました。でも恋人といる時の彼は安心しきった笑顔だったんです。だからとってもうれしくなりました。幸せなんだなって伝わってきて!

突然の母の思いつきで実現したイギリス旅行でしたが、大きな問題もなく無事帰国しました。でも今思うともっと色々準備して行けば、もっともっと有意義な旅行ができたのではないか?下調べもないまま、ただふらふら感じるままに旅しただけで、ちょっともったいなかったなとも思います。でも準備できたらなんて言っていたら、いつまでも行けなかったのかな?見切り発車だから実現したこと、結構私の人生多い・・・逆に知識もなく感じるままに受け止めていく、贅沢な旅行とも言えるのかな。母に感謝‼️


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