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絵本の世界をリアルに生きる2歳児

娘は2歳の誕生日をアメリカで迎えました。そろそろ絵本を読んであげたいと思いましたが、ジャパンタウンの紀伊國屋で売っている日本語の絵本は、高くてあまり買えませんでした。そこで日本から遊びに来た私の父が、何冊か絵本を持ってきてくれました。

その中で一番のお気に入りは、林明子さんの「こんとあき」という絵本でした。何度も何度も読んであげて、私も空で言えるくらいに覚えてしまいました。長距離の車移動の時も、語って聞かせてあげていました。それくらい娘のお気に入りだったのです!

「こんとあき」は“こん”という名前のきつねのぬいぐるみと、あきちゃんという女の子が、電車に乗っておばあちゃんのうちに行く話です。あきちゃんにとって“こん”はぬいぐるみではありません。一番の仲良しで、おばあちゃんの家に連れて行ってくれるしっかり者のお兄さんのような存在です。

娘にも“ころ”といううさぎのぬいぐるみがいました。まるでこんとあきちゃんみたいでしたよ。娘にとってころはぬいぐるみではありません。本当に一緒に遊んでいるようでした。会話もするし、一緒におままごともするし、歯磨きもします。どこへ行くのもころは一緒でした。

「こんとあき」の絵本の世界は、2歳の娘にとってはリアルの世界でした。ですから当然“こん”も“ころ”も動いていて、一緒に暮らしているのでした。大人の私には見えない世界が、2歳の娘にはリアルにそこにあったのです。

絵本が大好きな娘は、2歳半で帰国し、たくさんの絵本と出会いました。

大人の私は、絵本の中の世界はあくまでお話だと考えていますが、2歳児は違いました。絵本を読んでいる時間だけでなく、日常も絵本の世界で生きているようでした。娘は話し出すのが遅かったのですが、話し出したら普通に長い文章で話す子どもでした。単語もたくさん知っていました。こんなに言葉を溜め込んでいたのかと、驚かされましたね。そしてその多くが絵本の中に出てくるフレーズでした。絵本と日常の境がない幼少期の絵本体験って、その時しかできない素晴らしい体験ですね〜 本人はほとんど覚えていないと思いますが、覚えてなくても、心の根っこはしっかり育ったと思います♪

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