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【R6年診療報酬改定】ベースアップ評価料が謎すぎる その3

「ベースアップ評価料が謎すぎる」のテーマでの第3弾は、ほぼ厚労省への苦言です。
ベースアップ評価料の賃金の定義に関して、4月中旬から2週間、毎日のように告知もなく変更が続きました。全国の医療機関に影響が出る重要なことをこんな風に扱うなど、到底理解しがたいものです。
3/28疑義解釈その1の(別添2)問9により、ベースアップ評価料の年度評価は分母も分子も「年度の1月あたりの基本給等の総額」ベースになっています。その後の情報開示において、賃金体系の項目の意味合いを理解しているのであれば、通勤手当や精皆勤手当や家族手当など、ベアとして上げようがない、もしくはコントロールできないものを含めると、ベアが非効率になるとわかったはずです。

①基本給等の定義の迷走は噴飯物


ベースアップ評価料等について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)のFAQおよび改善計画書の記載事例においては、「労働契約、労働協約あるいは事業所の就業規則などによってあらかじめ定められている支給条件、算定方法による支給額です。基本給のほかに、職務手当、精皆勤手当、通勤手当、家族手当、時間外手当等が含まれます。」としていたのに、まずFAQがすべて消され記載事例の注釈に残ったものの、次に記載事例のPDFがいつのまにか差し替えられて、混乱を招いていた「基本給のほかに、職務手当、精皆勤手当、通勤手当、家族手当、時間外手当等が含まれます。」の表記が消されています。

②給与総額も結局のところ定義が曖昧。


消えたFAQでは「給料(扶養手当、時間外勤務手当、夜勤手当、危険手当、役付手当、通勤手当など労働の対価として職員に支給した全てのものを含む。)、賞与、法定福利費(事業主負担分を含む)の合計です。ただし、役員報酬は除きます。また、看護補助者処遇改善事業補助金や看護職員処遇改善評価料、ベースアップ評価料による賃上げ分は除きます。」だったのが、記載事例PDFでは、「扶養手当、時間外勤務手当、夜勤手当、危険手当、役付手当、通勤手当など労働の対価として職員に支給した全てのものを含む。」が消えています。給与総額はベースアップ評価料の算定根拠なので、この変更は病院にとっては良いのですが、通勤手当等を労働の対価としている認識に疑問が残ります。

③地方厚生局の混乱


給与の定義や書式を公開していた、地方厚生局(北海道厚生局等)のHPでは、当初は、「給与総額から、”通勤手当と臨時手当は除く」となっていましたが、今日(4/19)確認すると、上記の給与総額の説明は削除されており、添付されていた様式ファイルは、「※様式は修正中であり、追ってお示しします。(これまでにダウンロードいただいた医療機関等におかれましては、修正版にてご提出いただくことになりますので、あらかじめご承知おき願います。」とのキャプションが付いて、消えています。地方厚生局の混乱ぶりも垣間見えます。あまりにもお粗末な展開で、医療機関の総務や経理担当者はてんてこまいです。

④その後(4/20以降)


厚労省が新たに開設したベースアップ評価料のページの内容もダウンロード資料がコロコロ変わっていましたが4/27時点で落ち着いたようです。
過去にアップしていたものは役に立ちませんので改めて最新版に差し替えた方が無難です。

⑤診療報酬オンラインセミナー(5/20)


5月20日、厚生労働省保険局医療課主催でベースアップ評価料に係る「診療報酬オンラインセミナー」が開催されました。
ここで、基本給等=毎月決まって支払う賃金=所定内賃金(通勤・家族・教育・住宅手当等も含む)と明言しましたので、今までの迷走の原因がわかりました。
その詳細は別記事で。

詳しい解釈とシミュレーションを含んだ資料を有料で公開しています。ぜひご活用ください。


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