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【R6診療報酬改定ベースアップ評価料】④ベースアップ評価料が謎すぎる その4 5/20診療報酬オンラインセミナー」を視聴して

1.「診療報酬オンラインセミナー」の開催

2024.5.20厚生労働省保険局医療課主催でベースアップ評価料に係る「診療報酬オンラインセミナー」が開催されました。
ベースアップ評価料について理解を深めるものと期待しましたが、かえって違和感を深めるものでしたが、同時に今までの迷走の原因も判明しました。

2.ベースアップとは何をさすのか

そもそも「ベースアップとはなにか」を考えることが重要です。ベースアップとは、「労働の対価である賃金を対象に、年齢・勤続年数・学歴・職務・職能などで決定される賃金表を改定し、賃金の水準を引き上げること」です。次に賃金の体系を考えます。賃金は毎月決まって支払われる所定内賃金と所定外賃金にわかれます。さらに、所定内賃金は、割増賃金の基礎額とそれ以外に分類されます。そして、賃金体系におけるベースアップの対象を考えます。一般的にベースアップを行う企業の多くは、基本給または割増賃金の基礎額を対象(ベースアップ算定式の対象)にしており、基準内賃金として賃金規程で定めています。その理由は、職員にとってはわかりやすいことと、経営側からは通勤手当や家族手当・教育手当など経営側がコントロールできないものを算定に含めるとベア率が下がるからです。(確かに定額で支払っている交通費は毎月決まって支払われる賃金=所定内賃金ですが、ベアでは常識的に交通費は上げません。)

3.違和感の正体

従って、今回のベースアップ評価料は、目標達成には医療機関の多大な負担が不可避なのにも関わらず、対象賃金を所定内賃金にしていることが違和感の最大の原因です。これにより、厚労省内でも当初解釈に差がでたのでしょう。

4.ベースアップ評価料の継続は?

また、当該の評価料は、看護職員処遇改善評価料や介護の処遇改善関連の加算が廃止されていないから2年経過後も継続されるだろうという見解も根拠が希薄で信じがたい。看護職員処遇改善評価料や介護の処遇改善関連の加算と比して目標達成には医療機関の多大な費用負担が必要である(ここが大きな違い)ため、いっそ「ベースアップ評価料だけで処遇改善を賄って目標にほど遠い結果であれば2年ですっぱり廃止します。」と言い切ってくれた方が確実な処遇改善計画が策定できます。

5.届け出猶予は誰のため?

さらに「外来・在宅ベースアップ評価料(I)」
「歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)」
「訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)」は、届出の期限を6月21日まで延長するのに、「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)」「歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)」「入院ベースアップ評価料」「訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)」は、これまで通り6月3日までの届出というのも、何に配慮しているのかわかりません。厚生局は、どっち向いて仕事してるのでしょうか。

6.最後に

このような状況では、特に病院は自己防衛のため数字の意味を理解し評価まで考慮した処遇改善計画を策定する必要があります。  
その目的で作成し改善を重ねた賃金改善計画策定の支援資料を有料で公開しています。是非、ご活用ください。

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