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夜の森桜まつり2024

先日の話となりますが、4月6日(土)に福島県双葉郡富岡町で行われた「夜の森桜まつり2024」に行ってきました。

この「夜の森(よのもり)」という場所は福島県でも有数の桜の観光スポットです。その桜ですが、1900年に農村開発として入植した半谷清寿(はんがいせいじゅ)氏が、この地に300本のソメイヨシノを植樹したことが始まりと言われています。

彼の存命中に留まらず亡き後も彼の意思を継ぐ人々によって桜の植樹や手入れが続けられ、夜の森は桜の名所として広く知られていくようになりました。現在でも全長2.2kmにわたって420本の「桜のトンネル」が植えられ、県内外から多くの方が訪れる場所です。

夜の森の桜です。当日は雨模様でした。満開まではもう少しといった様子でした。

「夜の森桜まつり2024」は4月6日(土)・7日(日)の2日間にかけて行われました。この桜まつりは2011年3月11日の東日本大震災より前から行われている行事です。しかし、東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響により、夜の森地区を含む富岡町全域で避難を強いられ、町民は福島県内・県外へと生活の拠点を移らざるをえませんでした。

2011年のあの日・あの時を境に町から人がいなくなってしまいました。それでも、桜は季節がやってくると花を咲かせます。誰も人がいなくても、夜の森の桜や植物はその生命を止めることはありませんでした。

そして、2017年4月に町の約9割の避難指示区域が解除され、約6年ぶりに町への帰還が始まります。

残された避難指示区域(帰還困難区域)には夜の森地区が含まれていましたが、こちらも2023年4月に避難指示が解除されました。

富岡町の人口は、震災前、約1万6千人ほどでしたが、令和6年4月1日現在の町内居住者は2349人です。これには、元の住民だけではなく、震災後新たに移住してきた方を含みます。

また、富岡町に住民登録をしている県内外の避難者数は9059人となっています。こうした数値から、町に戻る・戻らない・戻れない・まだ分からない・判断に迷っているといった様々な状況に町民の方は置かれていることが推測されます。

それでも、その土地に根付いている文化や伝統、行事といったものを残すために尽力されている方はいて、町に戻ってきた住民の方と避難している住民の方が久しぶりの再会を果たせたり、町の思い出を語り合えたり、そうした喜びやホッとするひと時の輪を結びゆく。地元から親しまれてきた文化には、そんな意味も含まれているのではないかと思います。

震災前からある、夜の森公園。この公園が14年ぶりに東日本大震災前と同じメイン会場となりました。
夜の森公園内で開かれた「富岡再興ステージショー」の様子。多くの方がいらっしゃいました。
スタンプラリーもやっていました。家族連れや子どもたちの参加者が多くみられました。
「ふるさとグルメコーナー」、「事業活動PRコーナー」、「とみおかフリーマーケット」など様々なコーナーがあり賑わいを見せていました。他にもたくさんの催しがあったようです。

ここからは、夜の森地区の街並みの様子です。

現在の夜ノ森駅前の様子。
2020年7月に訪問した際の夜ノ森駅前の様子。

上の2枚の写真を見比べてみると、現在はバリケードがなくなったのが分かります。また、家屋の解体が進んでいるのが見て取れました。

おそらく、家屋の解体が進んだことから更地になっているところも多々見られました。

震災直後からそのままほとんど手つかずの状態と思われる家屋もまだありました。まちづくりはまだ半ばといった状況かもしれませんが、夜の森の”桜”という存在が、過去・現在・未来とこれからもまちの歴史や文化を継承していくはずです。


最後に、夜ノ森駅の写真です。

JR常磐線の夜ノ森駅。震災後、新しく駅舎は建築されました。待合室も設けられています。
夜ノ森駅構内にある桜のモザイクアート。「カラフルとみおかプロジェクト」という活動の一環として、富岡町のこども園の園児さんも制作に携わったとのことです。素敵な作品ですね!

夜ノ森は桜の名所であるとともに、夜ノ森駅構内では色とりどりのツツジが見られる名所でもありました。

震災前の夜ノ森駅に咲くツツジの様子。
一般社団法人富岡町観光協会より

これらのツツジは、震災後、放射性物質の除染のために伐採されてしまいましたが、株は残っていたため少しずつ再生されてきています。

2023年4月下旬頃の夜ノ森駅のツツジ。
福島民報社より

お読みいただきありがとうございました。
富岡町観光協会によると、令和6年4月10日現在、桜は満開とのことです!
また、ツツジも間もなく見頃を迎えるかと思います。たくさんの彩りが、今年も夜の森の春に咲き誇りそうです。


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