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エッセイ:チャップリンかキートンか

ㅤ一日に二、三時間に昼寝をするようにしたら肌荒れがめちゃくちゃ改善した。そうか、ただ睡眠時間が足りてなかっただけなのか。それとも睡眠によってストレスが解消された?ㅤあるいはソンバーユが効いただけ?
ㅤここ数日、チャップリンとバスター・キートンと『Mr.ビーン』を観ている。ビーンはep3.4がズバ抜けて面白い。アマプラから観てるけどYoutubeでも字幕付きで全編観られるらしい。チャップリンもキートンも大半はYoutubeにアップされているから本当に便利な世の中。
ㅤチャップリンかキートンか。最近までは断然キートンだと思っていたんだけど、年代を遡るとチャップリンの方が断然笑える。というのも、チャップリンにはちゃんとドラマがあるんだな。
ㅤチャップリン演じる放浪者は自分の為にしたことが何故か娘を救出することになって惚れられるとか、娘を口説いてたら亭主が見てて追っかけ回されるとか独り身故に成立するギャグが多い。対してキートンは既に結婚していたり、婚約相手は居るが相手の父に反対されているだとか、女を追っかける男の間抜けさみたいなギャグは一切ない。つまりドラマがない。
ㅤチャップリンは『キッド』なら赤ちゃんと警官であるとか、端から終わりまで登場人物との関係が持続している。対してキートンは基本その場その場での使い捨て。
ㅤというのも、キートンのギャグは仕掛けのギミックに依るものが殆どなんだな。手品みたいなもんで、次から次へと新しい仕掛けが披露される。で、これが笑いに繋がるかというと案外そうでもない。サーカスみたいなもんで、笑いというよりはおお凄いになっちゃう。
ㅤチャップリンは同じ相手に同じギャグをしつこいくらいに擦りまくる。ドリフのひとみ婆さんの比じゃない位に擦る。これがもうひっくり返るほど面白い。ゲラゲラ笑える。西の笑いは繰り返し、なんて言うけど喜劇の基本は反復なんだな。笑いがずっと持続する、途切れない。
ㅤ思うに、キートンの失敗はキートンのキャラクターが薄すぎる点に尽きる。無口な男以外に何も情報がない。キートンは仕掛けに対して・状況に対してリアクションしているだけだから、別にキートンが演じなくても成立してしまうコントなんだな。身体能力が伴えば。
ㅤ対してチャップリンは貧乏で意地汚くて女に弱くて......ちゃんと人間なんだ。だから観客が彼に入って行ける、乗れる。『Mr.ビーン』なんかも徹底して主人公が変人だから乗れる訳でね。『キートンの探偵学入門』とか長編は凄いけど短編はチャップリンの圧勝かな。

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