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エッセイ:他人について

ㅤ大問題で小問題を解決するということがある。例えば自分の生活の問題が上手く行かないから、哲学や政治宗教等、小難しいことを考えて自分の問題を後回しにすること。これは大変便利なもので、本来の人間なんてその程度のもんなんだ。開き直らなきゃ鬱になっちまうよ。
ㅤ鬱ってのは、真面目すぎるんだろうな。ある意味では自分の人生に対して誠実で、ある意味では最も不誠実。自分を高みに持ってこうとする気概は立派だけど、全然大したことない等身大の自分を無視するのは不誠実なんだな。
ㅤ夢を諦めるなんて言い方があるけれど、諦めるって二度とやらないみたいな感じがして嫌なんだな。飽きたから中断する、保留する位で良い。小問題を大問題で上書きするってのも保留。家族で大喧嘩があって、一夜明けたら元通り。これが正常な状態なんだ。問題を保留することが。
ㅤある作家の言葉に結婚の最大の障害は理解であるってのがある。これは保留すべき問題を解決しようとするとダメになるってことなんだね。
ㅤだから孤独な君が街中で仲睦まじいカップルを見ても、なんら嫉妬する必要は無いんだ。僕は寧ろ、他人同士であるかのように横を並んで歩いているカップルのを見ると、ああ上手く行ってんだなぁと思う。他人に対して、自分自身にも理解を求めると何事も上手く行かないような気がする。

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