正の数、負の数って、結局なんなん?

中1数学の最初に出てくる考え方、それが正の数、負の数です。
ここでびっくりしていきなりつまづいてしまったという方も多いことでしょう。
なんでそんなものが必要なんだー?!と、海に向かって叫んだ人もいるでしょう。
でも負の数、めっちゃ重要です。

負の数、つまりマイナスの数と聞いて最初に思い出すのは、やっぱり温度ですよね。
温度はふつうにマイナス1℃みたいに使います。
負の数なんてなくなって、全部正の数になっちゃえばいいんだー!と思うかもしれません。

温度に関して言えば、それは可能です。
「絶対温度」という温度表記があります。
単位はK(ケルビン)です。
この絶対温度には、なんとマイナスはありません。
0Kからスタートして、1K、2K・・・と続きます。

なんだ、じゃあこの絶対温度をこれからはつかえばいいj・・・。
ほんとにいいんですね?笑

たとえば福岡市の最近の気温は、だいたい296K~298Kぐらいです。
って言ってすぐにピンとこないですよね?
そして何より、数がめっちゃでかいです。

種明かしすると、絶対温度は摂氏(℃)に273を足すと出てきます。
つまり、296K~298Kは、23℃~25℃ということです。
温度って、絶対零度という温度があって、それ以上下げることはできません。
絶対零度は約-273℃です。
絶対温度は絶対零度を文字通り0としたときの温度ということです。

絶対温度についてまとめると、以下のようになります。

こんな感じで、温度についても、マイナスがいやならマイナスを使わないこともできなくはないです。
ただし、これは温度のようにこれ以上下がらないという点がないと成立しません。
無限にマイナスが続くようなものだと、ゼロを設定することができなくなるからです。

では、ゼロっていったいなんなんでしょうか。
今までゼロとは、「何もないこと」のように思っていませんでしたか?
それは正しいですが、十分ではありません。
ゼロには、以下のような意味があります。

  1. 何もない

  2. 基準

  3. 位取り

3は「10」とか「2000」とかの「0」のことです。
小学校までは1と3しか意識してこなかったかもしれませんが、中学に入って2を意識せざるをえなくなります。

実は、「何もない」というのが成立するような数は、個数や長さなど、結構限られています。
個数なら0は何もないことを示しますし、長さなら0㎝は長さがないことを示します。

ですが、「標高」ならどうでしょうか。
富士山の標高は3776mですが、これは何の高さでしょうか。
ご存知の方も多いと思いますが、これは東京湾の平均海面を0mとしたときの高さです。
(ちなみに近隣の海面を基準とする場合、「海抜」と呼びます)

「距離」ならどうでしょうか?
距離をはかるとき、必ずどこかを0mにしますよね?
「距離は12kmです」って言われても、ふつう「どこから?」って聞きますよね?
この「どこから?」こそが0mの地点です。

これが0の基準としての役割であり、その基準からある方向を正、正とは逆の方向を負と呼ぶことに決めているのです。

このことによって、0の点をそこまで厳密に決めなくても、とりあえず話を進めることができます。
温度の0℃だって、水が凍る温度を0にしちゃえ!って決めたんですよね?
それでいまのいままで何も困ってないですもんね?

のちに絶対零度が発見されることになるのですが、この発見を待たずに温度の性質を調べることができました。
適当に決めた0℃は、結局生活の中に浸透して、広く使われていますけどね。

今日のところはここまで!
また次回をお楽しみに!


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