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Momotaro ロマンス〜桃のパルフェ〜|#白4企画

白鉛筆様のnoteを拝読。

↓ ↓ ↓

〈募集要項〉

■内容  :『桃太郎』のストーリーに沿った自作の小説(詳細は後述)

■字数制限:なし

■募集日 :2024年8月24日(土)(厳守)

■その他 :『 #白4企画応募 』をつけてご投稿ください。

白鉛筆様note




Momotaro ロマンス
〜桃のパルフェ〜



それは気分転換に、ひとりで白桃のパルフェを食べようとしていた日のことだった。


柄の長い、先が割れたシルバーのスプーンで、皮をつるりといた白桃を刺したとき、ポン!とクラッカーに似た破裂音がして、細い金色の光の筋がいくつも流れた。


私はその幻に目をぱちくりさせて、まじまじとパルフェのグラスをのぞき込んだ。・・・何も、変わったことはない。


しかし・・・

目を上げて、

真正面の、

空いているはずの

椅子を見てみたら。


―――そこには、見目麗みめうるわしい黒髪の美青年が、こちらを見て座っていた・・・。



キラキラ光った星が見えそうな、涼しげな瞳。彼は流れ落ちる前髪をさらりとかき上げて、白いシャツの衿もとを、きゅっとつまんで整えた。


貴方あなたは・・・誰??」


「Je suis Momotaro.(僕は桃太郎です)」


・・・モモタロウ、というのだけ分かった。


「モモタロウ!?」

「Oui, ils le sont.(はい、そうです)


言葉が全然意味不明だ。
スプーンを手にしたまま、呆然と眺めていると、彼はにこりと笑ってパルフェを手のひらで指し示した。


「Prenez votre temps.(どうぞ、ゆっくり召し上がって下さい)・・・」



パルフェを指し示されたのは良いとして。


途中何を話しかけて良いか分からず、どぎまぎとなった私はかなり居心地が悪かった。


片肘かたひじをついたモモタロウに黙って見つめられながら、パルフェの味さえあやふやになっていたけれども、ようやくすべてを食べ終わった。


すると、モモタロウはスプーンを置いた私の右手を取って、両手でそれを包み込み、手のひらに彼の唇をゆっくりと押し付けた。


(―――え!?ちょ、ちょっと・・)


私は突然のことに声も出なかった。


モモタロウはそんな私の狼狽を気にかけず、テーブルの上で手をつないだまま、もう片方の手で髪をかき上げ、にこりと笑った。


「・・・これで、貴女あなたの言葉が話せるようになった・・・

―――これから、貴女を守っていきます」


日本語を話し始めた彼は、さらに美しさを増したように感じた。


守る、なんて言われた私の目は、きっとハート型になっていただろう。


モモタロウはおもむろに椅子から立ち上がって、私に軽く目礼をし、そのまま店を出て行こうとした。



何人かの女性が、彼の美しさにしゃべるのをやめて、テーブルの間をすり抜けるのを釘付けで見ていた。

「・・・一体、何なの・・・?」


店のドアに取り付けられたチャイムを鳴らして、背筋の伸びたモモタロウの背中が立ち去るのを見送ったあと、私はようやく声に出してつぶやいた。


彼ひとりが居なくなっただけで、店の中ががらんと空いてしまった気がした。




狐につままれたような気分が続いていたが、翌日は月曜日で、これからの1週間のために切り替えて気を引き締めないといけなかった。


出社後すぐ、全社員が並んで社長訓示を拝聴したあと、業務連絡として、人事部長が人を率いて前に出た。


(・・・モモタロウ!?)


人事部長の横には、身体に綺麗に合ったスーツを着て、黒縁の眼鏡をかけたモモタロウが居た。


モモタロウは鼻にかかる眼鏡のブリッジの部分を上げ、位置を整えた。


穴が空くほど私がモモタロウを見ていると、目が合って、彼は私に小さく微笑んだ。






はい、このモモタロウのお話は、一旦切りの良いところで区切りといたします。


明日この続きを書いていきたいと存じます😊


ちなみに、この企画では、以下のことを述べておられました。

↓ ↓ ↓


④場面を切り取る


『桃太郎誕生から鬼退治までを描く』→『雉を仲間にするところだけを描く』

ストーリーさえ変えなければ、細かいところはとやかく言いません。

白鉛筆様note


お言葉に甘えて、お話を分割させて頂きます😌



このあと、終活フェスティバルに登壇しまーす😊🌿
よろしければ見て下さいませ!




お読み頂き有難うございました!!


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また、次の記事でお会いしましょう!



🌟Iam a little noter.🌟



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