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ALSの進行速度・ピッツバーグ大学ALSセンターの説明

当事者であれば、誰でも考えることだと思います。果たして自分の進行が速い方かどうか、これがある程度判れば、今後自分がどうすべきかということの一つの判断材料になるかもしれません。

昨日ある方のブログで、「医者から進行速度が速いと言われた」、という内容を目にしました。その先生の発言の根拠は分かりませんが、不適切な発言かもしれません。何故なら機能低下の進行速度は一定では無いと言われています。進行速度が速いと思われいても後に遅くなったり、逆も然りと説明されています。更には進行しない時期もあったり、若干改善する時期もあったりすることは珍しくないからです。わたしも半年くらい変わらない時期がありました。

過去の記事でも紹介させていますが、デューク大学のリチャードベッドラック教授のビデオです。「進行速度は一定ではなく、進行が一時的に止まるケースもある。よって医者はいい加減なことを言うべきではない」と語っています。

更に、今朝ネット検索していたらピッツバーグ大学のウェブが目に留まりました。特に医学では有名な大学です。素晴らしい内容なので、シェアさせていただきたいと思いました。こちらです:

FAQとは、よく患者に聞かれる質問に対しての答え、という意味です。

全部良い内容ですが、「私のALSはどのくらいの速さで進行しますか?」という質問に対しての答えを紹介させていただきます。
英文は以下の通りです。その後そのまま当方訳が続きます:

How fast will my ALS progress?
The rate of progression is variable, and we cannot be sure about anyone’s rate of progression. Over time, we are better able to provide information about it. It tends to be more or less linear but sometimes there are step-wise changes or plateaus. We have had a few patients stop progressing. Breathing function is less predictable than overall function. We use the ALS functional rating scale (ALSFRS) that assesses bulbar (swallowing, speech), fine motor, and gross motor functions, and breathing. The scale is from 0-48. We also follow breathing function and measure the forced vital capacity (FVC). In general, the ALSFRS and FVC scores decrease by about 20% per year. If the decline in ALSFRS is more than 0.5 points per month, progression may be faster than average. Breathing declining at more than 3% per month also suggests a faster rate of progression. Patients over age 80, very low body weigh

当方訳:

私のALSはどのくらいの速さで進行しますか?
「進行の速度は一定ではなく変動します。どの患者の進行速度も確信を持てるものでありません。ある程度時間が経つことによって、進行のスピードの情報をより適切に提供できるようになるかもしれません。多かれ少なかれ、進行が一定の速さになる傾向はありますが、時には段階的に進行したり、進行が止まる(プラトー)ケースもあります。 我々の患者さんで数人進行が一時止まった方もいます。 呼吸機能の進行は、全体的な機能の進行よりも予測しにくいです。 我々はALSFRSスコアを使用し(スケール0~48)、嚥下、発話、呼吸、その他の運動機能を評価します。呼吸機能においては肺機能検査により肺活量(FVC)を測定します。 一般的に、ALSFRS と FVCのスコアは、毎年約 20% ずつ減少します。 ALSFRS の低下が1ヶ月あたり 0.5 ポイントを超える場合、進行は平均よりも速い可能性があります。 呼吸が 1ヶ月で3% 以上低下している場合も、進行速度が速いことを示唆します。また、80歳以上の患者、体重が非常低い患者、球麻痺もしくは呼吸障害から発症した患者は、進行速度が速い傾向があります」。

足が地についている、しっかりした説明だと感じます。教科書をコピーした説明ではなく、彼らの臨床経験も踏まえて書いている文章だということが感じとれます。

さて、ALSFRSスコアが毎年20%減ということは、いま仮に45だとした場合、一年後は36に落ちてるのが平均的な進行速度ということになります。それよりも落ちている場合は進行が平均より早いとみるようです。そこまで落ちてない場合は、「自分は遅めかも」となります。

ピッツバーグ大学ALSセンターのこの説明では ALSFRS スコアが、月に0.5ポイント以上失うと進行が速いとのこと、デューク大学のリチャードベッドラック先生は月に1ポイント失うのが平均だと言っています。それに対してはちょっと早すぎるのでは?と感じていたので、こちらの0.5ポイントの説明の方が私にはしっくりきました。

肺活量に至っては、FVCが100%の場合、一年後は80%に落ちているというのが平均とみるべきだということになります。

ただ冒頭の説明の通り、進行速度は常に一定では無い、ということを忘れていけないと思います。自分の進行が速いと言われても、いまにスローダウンするかもしれないと思うことも必要だ、ということです。

アメリカの記事だからといって私は全て鵜呑みにすることはありません(日本語の記事も同様です)。ですが、ピッツバーグ大学のこの説明は内容がしっかりしており、違和感がなく、自分の状況と照らし合わせても納得がいく内容だと感じました。皆さんは如何ですか?

ここまで適切に説明する情報はなかなかないので、共有させていただきたいと思いました。

以上です、


ピッツバーグ大学ALSセンターのサイト:


客観的に判断出来れば、ALS FRSスコアは自分でも計れます:


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