米FDA、ALS幹細胞治療NurOwnに関する諮問委員会会議を開催、
開催日程は未定ですが、比較的近い段階でFDAはブレインストーム社の幹細胞治療NurOwnの新薬申請を受理すべきかどうかについて審議する諮問会議を開くことを決定しています。3月27日に同社が発表しており、それを受けたメディアの記事も確認できます。
ALS幹細胞治療NurOwnについて昨年11月11日に書かせていただいていますが、FDAから新薬申請を却下された時点で、当方は当時ブレインストーム社のNurOwnが再起する可能性は低いという結論で締めくくっていました。実際当時株もロスポジションで全て手放しています。しかし先日、同社株が再び上場する動きをみせていたので不思議に思っていました。驚きの展開として表現しているメディア記事もあります。
背景には、その後もFDAに対して検討要求を継続していた同社と、昨今のバイオマーカーによって迅速認可を成し遂げたトフェルセンの例、患者支援団体の強力なサポートがあるとメディア記事が指摘しています。
3月27日のアメリカALS協会のHPでは、有効性の確信について未だどっちのポジションもとれない状況だが、治験参加者の証言から有効性がある治療の可能性がある。その為、同社のデータ解析を協会としてもサポートする。等のコメントがあります。他の支援団体も治験体験者の証言について言及しています。
証言についてはどれも進行抑制についてではなく、ALSFRSスコアの「改善」をみているところが、実はNurOwnの場合は興味深いのです。第2の患者支援団体「I AM ALS」は、NurOwnの公聴会開催を求める3万人以上の署名を添えた嘆願書を2022年12月にFDAに提出しています。これらの患者支援団体はブレインストーム社に対し合計約一億円弱の寄付金も提供していることがわかります。
先月認可されたトフェルセンも第三相の治験では有効性が示せなかったものの、バイオマーカーによって、その後復活し迅速認可されています。NurOwnは炎症、神経変性、神経保護といったマーカーにおいて全て実証出来ていると、メディア記事(3月27日BioSpace)には書かれています。
再起不能と思っていたNurOwnが諮問会議でリビューされることは驚きです。当方は現在50/50です。
結論です。今回の動きで改めて目を向けるべきことは3つあります。ひとつは毎回お伝えしていますが、今のアメリカ政府主導のALS(その他進行性変性疾患含)の新薬開発の取り組みが精力的に展開されているということ、。
2つ目は、アメリカの新薬レビューの透明性です。FDAによる諮問会議は世界中の人がオンラインによりライブで傍聴できます。パイプラインの最終段階にある新薬候補の状況やステータスが可視化されています。対して日本は毎回不透明です。ボスチニブ、ロピニロール、大量メコバラミン等、一体今どうなっているのか、いつ発表されるのか、等も不明な状況を保つ日本は参考にすべきです。
3つ目は、アメリカの例や、我々の経験からもわかる通り、署名活動は政府への働きかけに有効だ、ということです。だとすれば、ボスニチブや、その他の早期アクセスについて日本ALS協会も、署名活動を立ち上げてもいいのかもしれません。
以上です、
目を通した記事:
UPDATE: I AM ALS delivers petition signed by 30,000 to FDA's Dr. Peter Marks - I AM ALS
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