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物価高倒産でトラック不足に拍車?

帝国データバンクによれば、2023年1月の物価高倒産が初の50件に達したそうです。運輸業はそのうち最多で10件。
物価高倒産は2022年から増え続けており、年累計は320件。そのうち運輸業は最多で64件と全体の2割を占めています。物価高の要因としては、燃料代、原材料、資材等の高騰が指摘されています。

価格交渉にも応じてもらえず

一方、中小企業庁における価格交渉に関わる調査から、トラック運送事業は27業種について調査したうち、最も「交渉に応じてもらえていない」業種となっています。https://www.meti.go.jp/press/2022/12/20221223005/20221223005-1.pdf
「コスト上昇分の何割を価格転嫁できたか」については、20.6%となって、コスト上昇分の8割を自己負担している状況です。

2023、2024年問題で時短も必要

トラック運送業界では2023年4月から、残業代の割増率の引き上げが法令で決まっており、コスト上昇が確定しています。
2024年4月からはドライバーの残業時間の上限が960時間に規制されますが、この基準が「守れそうにない」という事業者は多くあります。違反すれば罰則が付くため、管理不可能として、廃業する事業者が出ることすら予想されています。

稼ぎたい人がやめちゃう!?

残業時間の上限規制のため、ドライバーが「稼げない」職業になってしまうことも問題です。もっと稼ぎたいと思う人は転職してしまうかもしれません。現在のドライバーが高齢化によって減少するだけでなく、転職による減少も増えるとみられ、これを防ぐにはやはりドライバーの報酬を増やす努力が不可欠です。

ではどうしたら?

まずはこんな取り組みが必要ではないでしょうか。高騰しているコストの価格転嫁への努力はもちろん、ドライバーへの配分を増やす工夫。また、時間単価の引き上げという意味もありますが、業務そのものの時短への工夫。

  • 会社の収入を増やす
     → 運賃値上げ&作業等料金の見直し

  • 会社の収入は不変
     → 社内報酬の配分見直し。ドライバーへの配分を増やす

  • 時短をはかる
     → 長距離、待機のある仕事、時間の読めない仕事は減らす

物流を持続可能にするため、運賃単価は今後、益々高騰するという覚悟が必要だと思われます。
荷主の方々は「2024年問題」についてご存じない方も多いようなのですが、これは単なる物流業界の問題ではなく、荷主の問題にもなっていきます。運賃単価が上がっても、物流コストの上昇を抑えるためには、荷主の「運び方を含む売り方の工夫」が重要です。

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